Sicko:笑い事じゃないアメリカの医療・・・悪者は医療保険会社

Sickoという映画には以前から注目していた。今ひとつ情報がはっきりせず、製薬会社などのインタビューがあり、それを拒否するようにという大手製薬会社の命令があったとか聞いたため、製薬会社のやり方を批判する映画なのかとも思っていた。


(http://www.michaelmoore.com/sicko/)





BMJにReviewが書かれている・・・真の悪党はなにか?

日本で各保険会社の不払い問題が取り上げられ、テレビCMでは医療保険の宣伝が多くなってきている。経団連・自民党はなにかと日本の保険制度を崩壊させようと画策し、アメリカの言うがままに民間医療保険制度へ誘導しているよう。・・・BMJの言うようにほんとに笑い事じゃないのだ

笑いごとじゃない:No laughing matter
BMJ 2007;335:47 (7 July), doi:10.1136/bmj.39262.638588.59
ほとんどすべてのひとがアメリカの医療システムが構造的な現実問題を抱えている事は否定しない。Mooreはこの問題を照らし出した。彼はこの問題をどう解決するかという疑問を呈しているのである。

Mooreは、作者として、ディレクターとして、俳優としておもしろく、悲しく、25000の医療恐怖物語の中で最もぞっとする作品を仕上げた。作品の冒頭はノコギリで2本の指を切断して、保険がないため、2本の指を取り戻すためには6万ポンド+6万ポンド要求されたという話ではじまる。

Mooreの真のターゲットはアメリカなどの医療システムの不完全さではなかった。

悪党は巨大保険会社であり、保険適用ということを売るが、あらゆる手段で必要なケアを値切り、深いに陥れ、悩みをもたらし、死に至らしめる・・・そういう医療保険会社である。

悲しい医療保険物語の連続となる。

 ・ 免責部分が高く、保険の高負担になかされ破産した年配夫婦
 ・ 79歳になっても医療費のため働き続けなければならない老人
 ・ 事前承認を受けてなかったからと、交通事故による外傷による医療費を保険会社から支払い拒否される女性


保険会社が支払いを拒否した少女について聞いた後観衆は涙を流す。

誰に責任があるのだろう・・・
・ 保険会社のmidical directorであり医師である人物は、涙をのんで、“medical loss”という保険会社の損失分をへらすため働き、支払いを拒否する
・ 告知ミスと病歴の照合で、告知義務違反をみつけ、にやにやする男


隣国カナダを対照として描いている。24時間対応で切断した指を必ずつなぐよう努力する。
イギリスでは子供が生まれるときの負担額を親に聞くと当惑する・・・金がいらない。
フランスの国家的保険制度で無料の医療、往診、保育、訪問看護・・・

アメリカの医療の現状が他国以下であることの印象を確信させていく・・・






先週、Lancetでも、取り上げられている。・・・そのうち詳細報告するつもりだが・・・こちらは米国の医療制度批判が主のようだ。
Lancet( The Lancet 2007; 369:2151-2152 )
米国では約5千万人の人たちが医療保険をもたない。就業年齢の7名の内1名が短期的であり、十分な保険にカバーされていない。皮肉なことに、米国は、この惑星の上で、一人あたりの医療費が最も高いといわれる国であり、先進国注最も乳児死亡率の高い国である。
米国は国家保険スキームのない唯一の先進国であり、これによる問題点は些細なことではない。


・・・・こんな国を手本にしようとする、日本の行政・政治・・・・あやつる外資・経団連・・・馬鹿にもほどがある

by internalmedicine | 2007-07-06 08:57 | くそ役人  

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