抗生剤投与中のprobiotics
2007年 07月 12日
臨床的にはビオフェルミンとかラックBとか・・・抗生剤など使用するときはビオフェルミンRなどの、“耐性乳酸菌”薬剤ということが併用されることが多い。
一方、C difficileの院内感染が世界的に問題になっている。
それで、probioticsがこの感染症への予防効果を示す重要な報告となっているとのJournal Watch誌の意見となっている。
ref. Clostridium Difficileによる院内感染
Use of probiotic Lactobacillus preparation to prevent diarrhoea associated with antibiotics: randomised double blind placebo controlled trial
BMJ, doi:10.1136/bmj.39231.599815.55 (published 29 June 2007)
平均年齢74歳の135の抗生剤投与中の病院患者
下痢による入院、腸疾患で下痢を生じる患者、4週間抗生剤投与患者、重症、免疫抑制状態、腸手術、人工弁、リウマチ性・感染性心内膜炎既往患者は除外
抗生剤関連の下痢症、特に、Clostridium difficileは世界的に問題となっており、probioticsの使用、サプリメントとして使用することなど行われている。以前の報告では抗生剤治療に関して予防的あるいは併用に関して異なる結果が示されていたとのこと。今回の二重盲験試験にてLactobacillus casei, Lactobacillus bulgaricus, Streptococcus thermophilus や 細菌を含まないミルクシェーク商品でおこなったもの。
抗生剤投与48時間以内に開始し抗生剤中止後も1週間継続したというプロトコール
抗生剤投与にともなう下痢症は
probiotic群:7/57(12%)
プラセボ群:19/56(34%)
ロジスティック回帰でprobiotic使用はオッズ比0.25(95%CI 0.07-0.85)で、アルブミン、ナトリウムも下痢のリスク増加と関連する。
絶対的リスク減少は21.6%(6.6-36.6%)、NNTは5(3-15)
C difficileによる下痢はprobiotics群で無し、プラセボ群で9/53(17%) (P=0.001).
絶対的リスク減少は17%(7-27%)で、NNTは6(4-14)
ビオフェルミンRは抗生剤併用において保険適応されているが、“耐性乳酸菌”一種類の菌で構成されているということで、上記報告と同一視されるものでない。また、抗生剤投与後1週間投与したという上記報告のごとく処方すると適用外となり、ニューキノロンとの併用も厳格には適用外となる。
・・・・解決しているような問題だが、実は問題だらけなのだ!
感染症の専門家とやらも・・・一段高いところから、外国の論文紹介主体および自画自賛講演するばかりでなく、こういう地に足のついた研究をしてもらいたいものだ・・・抗生剤の皮内反応を放置させているような感染症専門家って(抗生剤皮膚テスト・・・日本の医療の恥部だな)えらそうなことを言う資格はないのでは・・・
【宿題】
・ キノロン系との保険適用と臨床的合理性について
・ 耐性乳酸菌にC difficile抑制効果があるか?
・ C difficile抑制のためには抗生剤投与後1週間投与必要か?
・ 薬剤としてよりサプリメントや乳製品という形で投与は可能か?
by internalmedicine | 2007-07-12 09:36 | 感染症