マルファン症候群のもう一つの原因遺伝子・・・・表現形相似なのか?

学会発表予定のものを新聞に掲載(する or される)のは厳につつしまなければならないと思います。なぜなら、第三者の批判をうけてないわけだから・・・いわば、研究者の恥
これがレフリーのある医学雑誌になるとちがいます。これは第三者のクリティカルな立場からの判定がなされているからです。
ただこまるのは、その新聞報道が医学的知識の欠ける新聞記者を介していること。へたをすると、混乱した情報を伝えるだけとなり、その意味では、危険性があるわけです。


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リンカーンも発症?のマルファン症候群、原因遺伝子発見
朝日新聞七月五日分
http://www.asahi.com/science/update/0705/002.html
リンカーン元米大統領も発症していたと考えられている遺伝病マルファン症候群のうち2型の原因遺伝子を、科学技術振興機構の研究チーム(代表、新川詔夫・長崎大教授)が見つけた。4日付の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に発表する。
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 チームは、23対ある染色体のうち、3番染色体に異常のある患者が多いことから、詳しく調べた結果、がん抑制遺伝子として知られる「TGFBR2」の異常が原因と分かった。


transforming growth factor, beta receptor II

検索すると、脳蔓状血管異常(Cerebral cavernous malformations (CCMs))や動静脈異常症(arteriovenous malformations (AVMs)) といったもののなかで、AVMの家族例でこの受容体の異常が指摘されているそうで、


わたしなぞは「?」と思ってしまいました。


ハリソンによれば、Marfan症候群:三徴候を特徴とする・・(3つ揃う必要はない)
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(1) 骨格異常(loose joints(関節の緩さ)と arachnodactyly(クモ指症))を多く伴う高身長、やせた肢体
(2)視力異常:水晶体脱臼による視力低下
(3)大動脈基部に始まる大動脈瘤
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、fibrillinとの関係の方は以前から確立していたわけで・・
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1)Marfan症候群は、染色体15q21.1にあるfibrillin-1遺伝子の変異であり、糖タンパクfibrillinをencodeしている遺伝子であり、水晶体の牽引する靱帯の構造的成分、大動脈や他の結合組織のエラスチンの器質としての役割を果たすもの。微小線維の異常が有れば大動脈壁を弱体化する。・・・・変異遺伝子からのfibrillin-1モノマー産生物によりfibrillin-1のmultimerizationを中断し、microfibril産生を妨げる。・・・・


2)fibrillin-1、fibrillin-2遺伝子変異のDNA試験がすべてではないが多くの診断に寄与。ibrillin-1遺伝子の変異を同定することでMFSの要因としての大動脈瘤への進展する可能性を多くの患者で判明させた。MFSの骨格・眼所見なしでfibrillin-1遺伝子変異という理由で解離性動脈瘤が進展した患者もいる。loose jointが無い代わりにcontractural arachnodactylyを特徴とするMFSの稀な表現形も存在し、fibrillin-1遺伝子に構造的に類似するfibrillin-2の変異が同定される。予備データではfibrillin-2遺伝子が動脈瘤に進展しない可能性が示唆。しかし、fibrillilin-1遺伝子の変異の中に、骨格・眼症状はあるが、大動脈瘤へ進展しない稀な家系の例がある。
(Harrisonsoline)
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ということは、表現形が類似していても原因が別の原因遺伝子であったということに強く興味を引かれました。


進化論なんかでいう相似・・・・ちょっと違うか


<付録>
診療報酬上位の病名として、大動脈解離やマルファン症候群そのものがでています。そういう意味でも重要な病名なのでしょう。また、遺伝子相談など専門性が必要な病気でもあるわけです

by internalmedicine | 2004-07-05 12:07 | 動脈硬化/循環器  

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