単一蛋白遺伝子変異で寿命増加 : AC5欠損マウス

臨床の現実には、ごまかしだらけのアンチエイジング治療がはびこっているが、基礎的には見込みある話が出てきたようである。

Nature News から
Single gene deletion boosts lifespan
Mutant mice live longer, age slower and eat more.
一つの蛋白欠損させただけで、過食すれど太らず寿命が長い、突然変異マウスを研究者たちは作り上げた。この蛋白が無くなると、adrenalineの心臓への負担を低下させた。
AC5( type 5 adenylyl cyclase)と呼ばれるもので、これの阻害剤が、薬剤として開発に着手されている。

加齢研究として、この代謝的“若さの源: fountain of youth”を活性化することとして、カロリー制限が注目されているが、AC5による心臓健康化作用の研究にNew
Jersey大学のJunichi Saoshimaらが、Vatnerとともに着手している。

β遮断剤は、心不全患者に使われている。

2003年AC5欠損マウスは、圧による心不全になりにくく、抵抗性が報告された( Okumura, S. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 100, 9986-9990 (2003).)。この研究の過程で、正常者に比べて、このAC5欠損マウスが長寿であることが判明し、Cell誌(  Yan, L. et al. Cell 130, 247-258 (2007). )に報告されたのである。

この報告によると30%ほど寿命を延長し、心臓ストレス衰弱が少なく、骨の破壊も少ないという。

さらに、酸素蓄積による化学的反応物質による損傷を減少させることで寿命延長に作用している可能性とERK2と呼ばれる蛋白増加し、この蛋白は酸化ストレス反応に関係しており、VatnerらはERK2値が酵母において増加し、酵母の生存期間延長に作用しているという報告をしている。
心不全だけでなく、腫瘍による死亡減少も関係しているのかもしれないという。

まるで魔法のようなAC5だがそう簡単ではない。AC5欠損でも変異マウスはアドレナリンに反応している。しかし、心臓のホルモン作用は影響されにくいという現象は生じているのである。
不明なメカニズムがあるに違いない。

本来、アドレナリン反応は、“fight-or-flight"中に、本来役立つはずのものである。

AC5阻害の副作用として、モルヒネの反応やハロペリドールのような向精神薬の反応低下の可能性がある。

by internalmedicine | 2007-07-27 11:00 | 医療一般  

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