採血4回で注意義務違反を問われて慰謝料2400万円判決


宮大医療過誤訴訟で賠償命令 宮崎地裁判決
宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=729&catid=74&blogid=13
 宮崎大医学部付属病院で心臓病の長女=当時(2つ)=が手術前に死亡したのは担当医師が適切な医療行為を怠ったためとして、清武町の会社員男性(42)が同大学に約2900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、宮崎地裁であった。高橋善久裁判長は原告側の訴えを全面的に認め、大学側に約2400万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性の長女は2003年9月12日、先天性心臓疾患の手術前の検査を受診。研修医と担当医が失敗を含め計4回採血を繰り返したため、長女は痛みや恐怖で激しく泣き、無酸素発作を起こして虚血性心筋障害で同日死亡した。

 高橋裁判長は担当医は長女が発作を起こす危険性を予見し、注射の回数を必要最小限に抑える注意義務を怠ったと指摘。「計4回の注射で無用な痛みや恐怖を与えたことで発作が起きた」と死亡との因果関係を認めた。


2歳の子供の採血を4回程度でできるとおもってるのか?

今後は、泣き叫ぶ二歳患児の採血がどんなにむずかしいかリアリティーがないからこういう判決が出るんだろう。 先天性心疾患患児であることを考えれば、通常比較的容易な手技である採血でも非情に困難さを増す。


詳細がわからないが、おそらくanoxic spellと思われる.

新小児科医のつぶやき さん や 勤務医 開業つれづれ日記 さんの ブログ でも 同様な考えのようである



医療現場を崩壊させようという何らかの司法の意志さえ聞こえそうな判決がまた加わったという現実



調べた限りでは、hypoxic "tet spells" と いうのが最近では主流らしい

“cyanotic spells” とか “blue spells”ってのも見受ける。

これらのspellsは、肺への還流量が減少し、血液酸素化が損なわれるための生じる。
ないたり、運動したり(例. straining)やwalking up後。数分から数時間継続し、突然回復したり、失神、痙攣、意識消失を生じることもある。
squattingの状態にしておくこと、膝を胸に近づけることで血中の酸素化を改善させる。
より年長のTOFの場合は労作性呼吸苦、運動能力の低下、食事困難あり、成長障害をきたす( 参考 )



この患児も年長になってきており、重症度によっては栄養不良・成長障害があり、血管など容易に破綻しやすい状況だったのだろう。



Breath holding spell(BHS)という良性の病態もあるので注意が必要
(Postgraduate Medicine)

by internalmedicine | 2007-08-02 08:21 | 医療と司法  

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