静脈性下肢潰瘍ドレッシング治療のシステミック・レビュー&メタ・アナリシス

下腿潰瘍にガーゼで傷の創傷治癒を遅らせるというトンデモ手技は別として、静脈性下腿潰瘍にてドレッシング材の種類を問わず単に圧迫下にあれば良いのかもしれない。


静脈性下肢潰瘍の治療の黄金律は、“multilayer compression bandaging”とされている。通常圧迫包帯や弾性包帯使用前の潰瘍の被覆するようドレッシングが用いられる。治癒促進、傷への包帯の接着防止としてドレッシングが用いられている。

圧迫以外に、このドレッシングを行うことの利点を示すエビデンスがなかった。


Dressings for venous leg ulcers: systematic review and meta-analysis
BMJ 2007;335:244 (4 August)
254研究を同定し、クライテリアに合致したのは42

ハイドロコロイドは圧迫するだけの低接着性のドレッシング材より有効というエビデンスはない(8つのトライアル; ハイドロコロイドに比べた治癒相対リスク 1.02 95%CI 0.83~1.28)



他の比較では、結論を導くほどの十分なエビデンスが存在しない。

治癒促進する特定の種類のドレッシングがあるというエビデンスはドレッシング材比較では示せなかった。



主観的なアウトカム、潰瘍治癒率という面ではいくつか相違があった。

結果はトライアルのサイズ・質、ランダム化単位により影響を受けるものではなかった。

種類の違うドレッシング材のコスト効果について結論を導き出す十分なデータもなかった。



傷と包帯などとの接着を防ぐ単なる圧迫材があればすぐ使うのだが・・・サランラップ&粘着テープは・・・ちと使いにくいし、患者から抵抗される・・・という経験

それにしても、ドレッシング材って無用に高価・・・医療器具材料全般にいえることだが・・・


下肢潰瘍のお勉強 ( cleaveland clinic )

分類
* Venous stasis ulcers
* Arterial (ischemic ulcers)
* Neurotrophic (diabetic ulcers)


venous stasis ulcers
静脈性潰瘍は膝より下位に存在し、特に下腿内側、踵の直上に出現しやすい
静脈性潰瘍の元は通常赤色で、黄色の線維性組織に被覆され、感染が生じたときは緑色・黄色分泌物が出現する。廃液はこの種の潰瘍(感染性潰瘍)では重要。
静脈性潰瘍の病変境界は不規則な形であり、脱色・腫脹している。熱感や発熱を伴っていることもある。皮膚は薄く、堅く、浮腫の量により性状が異なる。皮膚は褐色・紫色に脱色もみられ、これは、“stasis skin change”として呼ばれる。
下肢浮腫や長軸性の静脈瘤性静脈病変、下肢の表層性・深在性静脈血栓形成の既往の有る患者に多い。潰瘍は片則・両側とも存在することがある。

USでは、年に50万人から60万人が罹患しすべての下肢潰瘍の80-90%


治療:
浮腫・腫脹を最小限にするよう圧迫が基本

圧迫治療は、弾性ストッキング、多層性圧迫ラップ、膝より下部踵までのACE包帯によるラッピング・ドレッシングなど

ACE包帯



圧迫治療の種類は医師が潰瘍のベースの性状や潰瘍のドレナージの量で判断
ドレッシング材の種類は潰瘍の種類と潰瘍のベースの外観で決める

ドレッシングの種類
1. Moist to moist dressings
2. Hydrogels/hydrocolloids
3. Alginate dressings
4. Collagen wound dressings
5. Debriding agents
6. Antimicrobial dressings
7. Composite dressings
8. Synthetic skin substitutes

by internalmedicine | 2007-08-03 09:40 | その他  

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