メタアナリシス:敗血症におけるステロイドの生存率やショックへの影響は用量依存的である。

私がRespiratory intensive care unitにつとめていた頃は、“なるべく早期に、大量のステロイド治療をしなさい”でした。でも、ネガティブデータが出てきましたが、その当時から1回や一日の投与で生存率を決めてもなあ・・・なんて、先輩医師もいってましたもの・・・


時代は経て、全く逆の投与法・・・少量・比較的長期が勧められる時代となりました・・・


メタアナリシス:敗血症におけるステロイドの生存率やショックへの影響は用量依存的である。
Meta-Analysis: The Effect of Steroids on Survival and Shock during Sepsis Depends on the Dose
Ann Int Med 6 July 2004 Volume 141 Issue 1 Pages 47-56
【背景】以前のメタアナリシスで高用量のグルココルチコイドは敗血症に有益性無いとの異であったが、最近低用量グルココルチコイドが研究
【目的】以前の研究とグルココルチコイドの敗血症へトライアルを比較
【データソース】 Systematic MEDLINE search for studies published between 1988 and 2003.
【研究選択】ランダム化、対照トライアル:生存率、昇圧剤必要性の研究
【データ分析】2名の調査者が独立して患者に関するデータ、研究の特徴、治療介入、アウトカムを調査
【データ作成】
5つのトライアルで、糖質コルチコイドの生存率への影響 (I2 = 0%; relative benefit, 1.23, [95% CI, 1.01 to 1.50]; P = 0.036) とショック回復 (I2 = 0%; relative benefit, 1.71 [CI, 1.29 to 2.26]; P < 0.001)に一致した有益性のある効果をみとめた
この効果は、副腎機能に関わらず同様。

逆に1989年以前の8つのトライアルでは、ステロイド治療が生存率に悪影響をあたえるとのことであった(I2 = 14%; relative benefit, 0.89 [CI, 0.82 to 0.97]; P = 0.008)。
以前の研究に比較すると、最近のトライアルでは、
・患者の参加クライテリア後ステロイド投与が遅く(median, 23 時間 vs. <2 時間; P = 0.02)、長く(6日 vs. 1日; P = 0.01)、総投与量が少ない(ハイドロコーチゾン換算 1209 mg vs. 23 975 mg; P = 0.01)、より対照群の死亡率が高く (mean, 57% vs. 34%; P = 0.06)、昇圧剤使用量が多い(100% vs. 65%; P = 0.03)

量が少ないとベネフィットがあり、使用量が増えるとharmが増えるという、ステロイド量と生存率の直線関係がある。

【制限】医療ケアにおける時間関連の改善の分析できず、非報告例のnegative studyの結果の2次バイアスを否定できず

【結論】高用量糖質コルチコイドの短期使用は敗血症の生存率を低下させるが、5-7日間の生理学的なハイドロコーチゾン量(その後減量)で、昇圧剤依存性の生存率増加をもたらしショックからの回復を促進する。
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この論文が大きいですね
 ↓
Effect of treatment with low doses of hydrocortisone and fludrocortisone on mortality in patients with septic shock.  JAMA. 2002 Aug 21;288(7):862-71.
Journal Watch

by internalmedicine | 2004-07-07 13:16 | 呼吸器系  

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