APOE 表現型を持つ人は、ストレスによる記憶障害を生じやすい
2007年 08月 28日
一方、アルツハイマー病などは、 APOE-ε4やSORL1などの遺伝子表現型との関連が報告されている。
遺伝的リスクのある人ではストレスによって記憶障害がでやすいのではないかという仮説とその立証
The Effects of Prolonged Stress and APOE Genotype on Memory and Cortisol in Older Adults
Biological Psychiatry, Volume 62, Issue 5 (September 1, 2007)
高ストレスレベルはアルツハイマー病におけるリスクを有する人たちの記憶低下に関与。また、アポ・リポ蛋白E(APOE)のvariantはアルツハイマー病に関連する記憶低下リスクに関係。
コーチゾル値高値は高ストレスと相関し、記憶機能に影響を与える。
しかし、risk genotypeと慢性ストレス状況の相互作用は十分判明しているとはいえない。
Peavyらはgenotypingと慢性ストレス状態を91名の老人健康者(平均年齢78.8歳)で検討、ストレスは半構造化面接にて評価。
ストレスが少なく、APOE-ε4リスク要因のないものは高ストレス、AOPE-ε4のあるものより記憶測定に関してパフォーマンス良好
ストレス経験、AOPE-ε4の対照者は記憶障害の程度が高い。
Guerry M Peavyは、遺伝状態と高ストレス状態の相関が示されたわけであるが、記憶に関して、高ストレス状態の経験はapoε4 alleleを有するひとにだけ記憶破壊的影響を影響をもたらすというのが新しい知見であると述べている。
慢性のストレスのような環境要因がAPOE-ε4と関連して加齢記憶低下促進的となる。
心理社会的な介入、心理治療的、薬物治療などの戦略になんらかの示唆となるだろう。
The neuronal sortilin-related receptor SORL1 is genetically associated with Alzheimer disease
Nature Genetics 39, 168 - 177 (2007)
by internalmedicine | 2007-08-28 09:20 | 精神・認知