医療事故報道でフジテレビ敗訴
2007年 08月 28日
例えば、女子医大の事件がありました。改竄ということもありましたが、改竄はここではちょっと除いておきます。人工心肺を回していたのは医師なのです。100回転に回転数を上げた人工心肺の操作がまずかったから、ということで起訴されたわけです。私たち学会は、患者側とも病院側とも関係なしに、独自で真相は何かということで委員会を立ち上げて、私が委員長をやりました。
人工心肺の外側で人工心肺と壁の陰圧ラインの間にフィルターを入れて、清潔な人工心肺を不清潔な陰圧ラインと分けようとしたわけですが、それは全然必要なかったわけです。その陰圧のフィルターが、たった1ccの水で詰まるということを我々は実験的にも証明しました。人工心肺の中には水蒸気がいっぱいあるわけです。一回一回使い捨てならよかったのですが、何回も何回も使っているうちにフィルターが詰まって、人工心肺の中の圧が高くなって、空気が身体の中に逆流したということになりました。医師の人工心肺の操作ではなく、人工心肺のシステムが悪かったのです。
医療機器の問題が主だったのに、メディアは、事実確認を怠り、“医者の責任”として報道を暴走させている。
無罪判決の報道で名誉棄損 医師がフジテレビに勝訴
07/08/28 記事:共同通信社 提供:共同通信社
東京女子医大病院で2001年、心臓手術を受けた群馬県の少女=当時(12)=が死亡した事故をめぐり、業務上過失致死罪で1審無罪となった元担当医が、判決を報じたフジテレビの4番組で名誉を傷つけられたとして、同社に1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、うち1番組の名誉棄損を認め、100万円の賠償を命じた。
土肥章大(どい・あきお)裁判長は「無罪に疑問があることを示唆する情報を多数提供しており、元担当医が未熟で過失があったため事故が生じた可能性があるとの印象を与えたことは否定できない」と指摘。「当初は罪を認めた」との報道内容についても「事実とは認められない」と判断した。
元担当医は05年11月30日、東京地裁で無罪判決を受けた。
判決によると、フジテレビは同日夕のニュース番組で、判決内容を報道した際、医師が未熟だったとする趣旨の弁護士のコメントを紹介。また、元担当医と被害者遺族の双方が記者会見をしたのに、遺族のコメントだけを放送した。
元担当医については検察側が控訴している。
日常的に、医者・医療機関=悪者とする、いい加減な報道がなされている。
今後、医療機関側は臆することなく、メディアを提訴・訴訟する必要があるだろう。
福島県、奈良県などで起きた事件・事故に関してもマスコミは一方的に”被害者”側見解のみを垂れ流している・・・
無断リンク:紫色の顔の友達を助けたい 東京女子医大、警察、検察、マスメディアの失当
by internalmedicine | 2007-08-28 12:38 | メディア問題