かび対策による喘息改善効果

喘息対策として、屋内かび対策は重要であることは言うまでもないが、対処にて喘息アウトカムに影響があるということが改めて判明した。

Effects on patients with asthma of eradicating visible indoor mould: a randomised controlled trial
Thorax 2007;62:766-771

一群は、かびを除去し、抗かび処置を行い、ファンをロフトに設置する
対照群は、12ヶ月以上の処置を遅らせる


ベースライン、6ヶ月、12ヶ月後

介入群:81の家、対照群:83の家で開始、最終的には、介入群:68の家の95名、対照群:63の家の87名

ベースラインで、PEF変動は両群とも減少し、有意差は両群にない
6ヶ月後、介入群は喘鳴関連に関してnetでの改善 (difference between groups 25%, 95% CI 3% to 47%; p = 0.028)があり、呼吸自覚症状の改善 (52%, 95% CI 30% to 74%; p<0.0001)、薬物の減少(59%, 95% CI 35% to 81%; p<0.0001).がみられた。

12ヶ月後、介入群では、有意にプレベンター、レリーバー使用減少を示し、鼻炎の改善 (24%, 95% CI 9% to 39%; p = 0.001) 、鼻炎・結膜炎の改善(20%, 95% CI 5% to 36%; p = 0.009).を示した。


日本の不可思議な“気道系加湿伝説”ともいうべき、痰が出にくければ即ネブライザーで気道過分泌状態でも無理強い、そして、屋内には加湿器・・・という医者・看護師もいる。“喘息には乾燥した空気が良くない”と言い張り商売に励む加湿器メーカーがいる。


U.S. Environmental Protection Agencyにおいて
対策10項目
1)かび暴露は健康状態や症状への影響の可能性、アレルギー反応、喘息、他の呼吸器合併症など
2)屋内環境のかび、かび胞子を全除去する方法はない、かびの増殖コントロールは、屋内の湿度をコントロールする方法である。
3)かびが家や学校で問題となるなら、かびを除去し、湿度源対策をしなければならない。
4)水の問題源を確定し、かび増殖を予防しなければならない。
5)屋内湿度を30-60%まで減少してかび増殖を減少;浴室換気を行い、乾燥させ、他の湿度源を戸外へ移動し、エアコンや除湿器を使用し、換気を増やし、調理中・皿洗い・クリーニング中排気ファンを用いる。
6)建物の材料や家具を洗浄し、24-48時間乾燥させ、かび増殖は予防する
7)水と合成洗剤で硬い材料の表面をかびを除去し、完全に乾燥させる。黴びているならシーリングタイルのような吸収剤に換える必要がある。
8)凝結(結露?)予防:冷表面の結露の可能性を減らす(i.e. 窓、パイプ、外壁、屋根、床)、insulationを加えることにより(防熱?)
9)永遠に湿度問題がある地域では、カーペットを使用しない(i.e. 飲水噴水、クラスルーム水槽、水漏れコンクリート床、頻回な結露)
10)かびは至る所にあり、湿気さえあればどんなところでも増殖する。かびは木、紙、カーペット、食べ物でも増殖する


適切な蒸気バリアがない建物では加湿器をおくべきでない。American Society of Heating and Air Conditioning Engineers (ASHRAE) では室内外の温度差により最大湿度を以下のごとく設定している(AHAM
屋内外の温度差+20度華氏(+13.4度摂氏):35%
+10度華氏(+6.7度摂氏):30%
0度華氏:25%
-10度華氏(-6.7度摂氏):20%
-20度華氏(-13.4度摂氏):15%



かびに関して言えば、日本では夏型過敏性肺臓炎もお忘れ無く・・・夏風邪で済まされた馬鹿医者扱いされますぞ。梅雨時期でなく、夏場最盛期に多く、秋口まで患者が多くなりますので・・・ご注意を!

by internalmedicine | 2007-08-29 10:57 | 呼吸器系  

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