米国医師における精神科と宗教的の相関関係
2007年 09月 04日
より日常的にも、“終末期患者に対するセデーションの実施,避妊失敗に対する中絶手術,保護者の同意を得ないで青少年へ避妊薬を処方”に医師の宗教・両親に基づく判断が関与しているという、“宗教と良心,および意見の分かれる臨床診療;Religion, Conscience, and Controversial Clinical Practices Engl J Med 2007; 356 : 593 - 600(日本語訳:南光堂)で、医療関係者の“宗教”・“良心”がその医療決断にかかわる状況が報告されている。
そのサブ解析で、“宗教”・”精神科医師”に注目した別の報告が以下の論文
個人的には、精神科医師と宗教とのかかわり・・・彼らの心理的スタンダードをどこに置いているのだろうという意味でも興味深いのだが・・・結論からいえば一般医医師に比べて宗教的関与は少ないというイメージをもつ結果であった。
The Relationship Between Psychiatry and Religion Among U.S. Physicians
Psychiatr Serv 58:1193-1198, September 2007
精神科の宗教的特性を調査したもの
2000名のUS医師の層別化ランダム化されたサンプルで、医師たちの宗教的特性を照会したもの、調査は100名の精神科医を含む1144名の医師
曖昧な心理的症状を有する精神的症状を有する患者に簡単なエピソードを読んでもらい、その患者を宗教指導者に紹介するか、精神科医・心理学者に紹介するかどうかを尋ねたもの
他科医師に比べ精神科医はユダヤ教く(29% vs 13%)、特定の宗教なし(17% vs 10%)が多いが、プロテスタント(27% vs 39%)、カソリック(10% vs 22%)が少ない
一般的に宗教に信心深いことは少なく、スピリチュアルでもなく、宗教的でもない(33%
vs 19%)
信仰心のある非精神科医師たちは、各宗派牧師へ助言や宗教的相談を紹介する傾向があり(多変量解析オッズ比 2.9~5.7)、精神科医・心理学者へ患者を勧める傾向がない(多変量解析オッズ比 0.4-0.6)。
宗教的な誘導というのが精神科医・心理学者に少ないというのはあたりまえで、自らの職業を額することとなるのだから、意味ある調査なのだろうか?
by internalmedicine | 2007-09-04 10:04 | 医療一般