腹部大動脈瘤の悪化:そのリスク要因と時間的要因

ある一点まで大きくなると爆発的に腹部大動脈瘤は悪化する。このことに基づいて検診・スクリーニングがなされるべきですね。

Abdominal Aortic Aneurysm Expansion
Risk Factors and Time Intervals for Surveillance
Circulation. 2004;110:16-21.
【背景】腹部大動脈瘤(AAA)拡大への介入と検診回数の適正化は現在のサーベイランスプログラムの改善をもたらすであろう。研究の目的は包括的、心血管リスク要因とも有する自然なコホートでAAA拡大の特徴づけをおこなうこと
【方法・結果】1743名の患者を超音波にてAAA直径を1.9年平均フォローアップしたもの。平均AAA内径と成長率は43mm(28-85mm)と2.6mm/年(-1.0-6.0 mm/年)
ベースラインの直径は成長率と相関、おそらく、AAA拡張進展はその大きさとともに加速する。AAA拡張率は、ankle/brachial pressure indexの低い場合や糖尿病の場合小さく、現行喫煙者の場合は大きい(P<0.001)
脂質、血圧を含めた他の要因はAAA成長と相関せず。
35、40、45,50mmの動脈瘤で36,24、3ヶ月間隔で再検診で55mmまで到達する可能性が1%未満になる。
【結論】毎年の、あるいは、それ以下の頻度のサーベイランス間隔は直径45mmのの全例で安全。喫煙がAAA拡張を信仰させ、動脈硬化要因は果たす役割は小さかった。
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ラプラスの法則・数式 (LaPlace's law ) というのは、調べると生理学関係ばかりです。
まあ、いいのですが、


内圧がPのとき、厚さh、半径rの容器の壁にかかる張力

T=P×r/2 h

内腔圧(血圧など)が一定だと、半径が大きくなるほど張力が増加する


内腔が膨張し、直径が増加するほど、大きな壁圧が加わる、それに組織学的に、“cystic medial necrosis, elastin fragmentation, fibrosis with increased collagen, medial necrosis”が加わる。

まさに一点から悪化が急速に広がるわけです。直径3cm程度で毎月のように検査してもコストに見合わないということ・・・かな


#患者様各位へ>各事例によって異なりますので、医師に相談してください(・・・と逃げる)

by internalmedicine | 2004-07-08 15:01 | 動脈硬化/循環器  

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