ビタミンDサプリメントで総死亡率改善

医療系ブログで、科学的エビデンスからかけ離れているが、一見科学的に見える、かなり偏った内容のブログ、いわば疑似医学的ブログが問題になっているようである。当方のブログにも、かなり偏ったサプリメント業者のブログからTBやコメントが頻回にあり、そのたび、勝手に削除させていただいている。今回も、やや危惧する内容ではあるが・・・

ビタミンDに関して ods.od.nih.gov によれば、骨への作用以外に、免疫システム、細胞増殖・分化に関係しているとされる。
カルシウム、ビタミンD複合は閉経女性に対して骨塩・骨折への有益性を示す(NIHコンセンサスステートメント: マルチビタミン・ミネラルサプリメント(MVM) 2006年 08月 01日)。
ただ、骨折予防効果は不明で、腎結石リスク増加、直腸癌への影響は見いだせなかった(カルシウム+ビタミンDサプリメントの効果・・・骨折予防効果なし、腎結石増加、直腸癌予防効果なし 2006年 02月 16日)という報告もある。一方高齢者にて、5ヶ月という短期間で、老人施設での研究、ビタミンD高用量投与により転倒リスク減少を見いだした報告(老人施設での研究、ビタミンD高用量投与にて、たった5ヶ月で転倒リスク減少 2007年 02月 26)もある。




経済的、観察研究にて低ビタミンD状態は生命に関わる状況、寿命の60-70%の疾患、すなわち癌、心血管疾患、糖尿病を含む疾患群と関連するとされるが、ビタミンDサプリメント(ergocalciferol [vitamin D2] or cholecalciferol [vitamin D3]) のランダム化トライアル参加者における死亡リスクを推定したもの

Vitamin D Supplementation and Total Mortality
A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials
Philippe Autier, MD; Sara Gandini, PhD
Arch Intern Med. 2007;167:1730-1737.

18の研究、57311名の参加者、4777脂肪発生、トライアルサイズ補正平均5.7年
ビタミンDサプリメント用量は300~2000 IUでトライアルサイズ補正平均1日投与量は528 IU
9つのトライアルで、介入群と対照群は、血中25-hydroxy vitamin D値は1.4~5.2倍
サマリー相対リスクは0.93(95%CI 0.87-0.99)

heterogeneity、出版バイアスとも適用はなかった

要約相対リスクは、介入におけるカルシウム・サプリメント追加により変化はなかった。



"ビタミンD欠乏症による大腿四頭筋などの近位の体幹筋の萎縮に対しては、ビタミンD投与数週間から半年ぐらいで、血清25(OH)Dとともに、筋力やバランス能力が回復してきます。高齢者の場合、カルシウムやビタミンD前駆体の摂取量が不足したり、肝臓や腎臓の機能が低下したりして、慢性的なビタミンD不足に陥っている可能性もあります。(http://www.richbone.com/kotsusoshosho/tento_kotuso/04.htm)"という記載は比較的納得できるものである。前向きな研究が日本でも行われる必要性があると思う。


ビタミンDは、1IU(国際単位) 0.025μg、すなわち、400国際単位=10μg
食品からビタミンD500国際単位とるのはさほど難しくないと思う。


上記URLにも
植物性食品からはビタミンD2(エルゴカルシフェロ-ル)と動物性食品からのビタミンD3(コレカルシフェロ-ル)があります。ビタミンDは脂溶性であるため、脂肪に富んだ魚、卵黄などに多く含まれています。欧米では魚類を食べる習慣があまりなく、日照不足も多いことから、牛乳にビタミンDが多く添加されています。
ということで、日本では通用しないエビデンスなのかもしれない。

また、ビタミンD中毒症のことも考慮されなければならないだろう。

by internalmedicine | 2007-09-12 08:27 | 運動系  

<< 血中ホモシステイン値低下による... 前立腺癌検診「推奨しない」 >>