血中ホモシステイン値低下による腎疾患への影響:予想通りの否定的結果

ビタミンで心筋梗塞二次予防を悪化・・・ホモシステイン仮説の否定 2006年 03月 13日でのべたが、ホモシステイン理論によるビタミン投与による心筋梗塞後の二次予防としてはむしろ悪化さえ示唆するのである。

今回のJAMAでは最近何かと話題のCKDとES-RDに対するホモシステイン低下療法の意義・・・予想通り否定的結果


Effect of Homocysteine Lowering on Mortality and Vascular Disease in Advanced Chronic Kidney Disease and End-stage Renal Disease
JAMA. 2007;298:1163-1170.
高ホモシステイン血症は、CKDや終末期腎疾患の血管合併症のリスク要因であり、ランダム化プラセボ対照治験にて、Jamisonらは、高用量葉酸やビタミンB6やB12の組み合わせによる低ホモシステイン値への治療で、死亡率低下、心血管イベント減少、切断への影響検討。
しかし、ホモシステイン値は低下したが、、全死亡率や血管疾患頻度は減少しなかった。





1969年、McCullyは、高ホモシステイン血症が重症の動脈血栓性疾患や青年時のホモシステイン尿症での死亡率増加の原因となるいいだし、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12がホモシステイン代謝に重要な役割を果たしているのである。無数の症例対照研究、前向き研究がなされてきたが、血管疾患への関与が示されてきた。同時に、検査研究にてホモシステインが酸化ストレス、血管内皮損傷へ、トロンビン形成へと働くことが示された。
疫学調査ではホモシステインと心血管リスクの相関が確認されたが、介入試験では、ベネフィット、アウトカムにおいて一定の結果が得られていないのである。いくつかのランダム研究では高度リスク対象者相手に心血管イベントや死亡率低下を得られていない。
今回も、高度リスク患者において、ホモシステイン低下療法の効果が認められなかった。

by internalmedicine | 2007-09-12 09:21 | 動脈硬化/循環器

 

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