第二のコムスン問題となるか? PFI関係贈収賄事件

小泉政権は経済政策を経団連に“丸投げ”した政治であったと私は思う。経団連の意向をくんで、政策の根幹に関わる規制改革・民間開放推進会議の議長にもっとも私利的な人物を置いたのであったのだと思う。

包みかくさず、医療という事業に、利益をもとめる企業のリーダーでもある。

今年になり、介護に利益を求める企業、グッドウィルグループ・コムスンが社会問題化した。そして、本日、規制改革・民間開放推進会議がごり押ししたPFI事業に関わりある事件で刑事検察が動き始めている。

度重なる診療報酬減少と、患者側要求レベルの増大により、医療機関のほとんどは泣いている状況である。そういう医療支出を実態をふまえずに、弱り切った公的医療機関を、ハゲタカのような企業およびその代表者は、そのターゲットとしたのである。

私利的で軽薄な米国かぶれな経済の専門家の呪文・・・・PFI が かれらの魔法であった。

小泉首相による構造改革の本格化とともに、PFIに対する注目が高まっている。PFI(Private Finance Initiative, プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)とは、公共施設等の建設・維持管理・運営等を、民間の資金・経営能力及び技術的能力を活用して行う手法のことである。日本では、99年のPFI法成立以来、一部の先進的な地方自治体を中心に導入されてきており 1、国や地方自治体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を実現する新たな手法として、現在、本格的な導入フェーズに差し掛かったところである。(http://www.keieiken.co.jp/monthly/repo0205/02051.html


恥ずかしげもなく、宮内が代表であるオリックスがバックであるPFI事業が開始された。全国初のPFI事業による病院『高知医療センター』開院 2005年2月13日  

その結果の一つは以下の記事となっている。
 ↓


高知の病院捜索、収賄容疑で同志社大教授を聴取 Sankei Web 2007.09.16

 同志社大教授で高知医療センター(高知市)の前院長(63)が、病院施設の建設・設備工事をめぐり、業者から高級家具を受け取っていた疑いが強まり、高知県警捜査2課は16日、収賄容疑でセンターなどを家宅捜索、前院長の事情聴取を始めた。


収賄で瀬戸山前院長を逮捕 運営会社から家電や家具 高知医療センター 高知新聞 2007年09月17日(月曜日)
高知医療センター(高知市池)の瀬戸山元一前院長(63)=京都市左京区=が平成16年から17年にかけて、同センターの建設・運家会社「高知医療ピーエフアイ」の中核企業、オリックスグループの関係者から高級家電や家具をもらっていたことが分かり、県警本部捜査二課は16日、それらがわいろにあたるとして贈収賄容疑で瀬戸山前院長と「オリックス不動産」の元社員2人を逮捕した。贈賄側2人は容疑を認めているが、瀬戸山容疑者は否認しているといい、同課が追及している



旅行が辞職の一端 医療センター瀬戸山院長が会見 高知新聞 2006年01月13日
民間業者との「付き合い方」が早くから疑問視されてきた。PFI事業の優先交渉権者を選定する直前に参入希望業者と米国に視察旅行に出掛けるなど、その“脇の甘さ”は県・市病院組合議会でも厳しくただされた。
 そうした業者との距離感覚の危うさは院長就任後もささやかれ、今回発覚したイタリア旅行での業者同行にしても同様。


この事件は、プラズマテレビ程度の収賄事件だが、背後を考えれば、この刑事・検察の動きは、なにか大きな動きがあるだろう。

これが、コムスンと同様な大きな動きになるかどうか・・・・本日朝、確認したところテレビ報道では詳細な説明はなかった。

いまだ、小泉政権の後始末がまだ十分なされてない時点である。先週、小泉は次期政権への自分の主義主張と一見異なる総理候補を推挙した。飯島秘書官と、その候補の不仲は私のような政治に無頓着な人間でも知っていた。それがまるで勝ち馬に乗るように・・・

さて、PFI事業で立ち上がった高知の医療、2008年度には資金ショートを起こすという試算がだされているそうで、今度は、オリックスはSPC(特別目的会社)という呪文を・・・(参考:http://www.izai2.net/iryou.html)

それにしても、規制改革・民間開放推進会議のいっていた改革ってのはいったい何なんだろう?一企業が地方の医療を食い物にして企業の利益だけ追求し、次々に赤字累積、最後はその負担は地元・自治体に押しつけ?




政治が直接口出しする時代になっている。現場との乖離を感じることのひとつが、電子カルテ、診療報酬電子請求のことである。電子カルテはあくまで補助的なものであり、あれを根幹にできるほど現場のスキルは高くない。情報の漏洩のしやすさも大きなデメリットである。だが一番反対すべき理由は作業効率の悪化なのであう。オーだリングシステムやフェール・セーフシステムなど利益を有するところだけ利用すればよいのに、お上から、すべて電子化せよという命令に近い圧力を現在受けているのである。・・・なぜか?

高知のPFI事業では、オリックス、NTT、富士通など名前が挙がっている。いづれも政治・行政と深く関係する企業である。そこまで話が広がることはないのかもしれないが・・・日本政治のダークな一面であることは確かである







瀬戸山 元一氏とは・・・
今月のコラム第17回  2004/9
高知医療センターのめざすもの
http://www.nursing-plaza.com/column/200409/17.htm


かれの業績は、市立舞鶴市民病院、島根県立中央病院でのものが大きいのだろう

実際、
高知県側が彼に注目した理由は、京大医学部卒業後、市立舞鶴市民病院の院長として経営立て直しに手腕を発揮。島根では医局制度にこだわらず、全国初の電子カルテシステム導入を進める気鋭の院長として医療界の注目を集めていた。
http://www.kochinews.co.jp/rensai05/05tougou05.htm


このいきさつをみれば、島根県立中央病院では、仕事半ばで、高知行きとなったようである。


・・・・となると、かれの真の業績は市立舞鶴市民病院だけ

で、市立舞鶴市民病院はどうなっているかというと・・・Wikipediaでも参照してほしい


かれが院長をしていたころ、この市民病院は対外的には輝いて見えた。外人医師を積極的に日常診療に参入させ、英語での討議など・・・医師側からみても魅力的な病院であった。
ポジティブな時には強いが、ネガティブな状況となったとき、かれの手腕はどうだったのか?
PFIというシステムは、関係する企業にとって都合のよいだけのシステムであり、彼の「患者主体」というシステムとは相反するものであり、それを排除するどころか、関係する企業の利益にすりよってしまったとことに人間としての弱さがでてしまったのではないか?

自らの利益追求を横文字でごまかすハゲタカ的経済側に医療のイニシャティブを奪われた悲劇が高知にもあるし、日本全国に広がっている。  医療ファンドもしかり・・・

by internalmedicine | 2007-09-17 07:15 | メディア問題  

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