禁煙のリスク

喫煙自体が、長期的・短期的リスクがあり、確立しているわけで(smoking cessation 関連)、禁煙をすすめるのは医療者としての責務なわけです。

ただ、禁煙のリスクも提示しなければならないわけです。

禁煙によるリスクというのは肥満が知られていると思うのですが、禁煙指導者でも十分に認知されていないのではないでしょうか。高血圧に関しても悪化をもたらすという論文があります。禁煙すべきではないというのではなく、単に禁煙をすすめるだけでなく、肥満・高血圧、それにかかわる耐糖能、脂質代謝、動脈硬化に関わる疾患、膝関節などへの負担など配慮が必要となるわけです。そのような指導がなされない場合は説明者に一定の責務が生じるかもしれません。

また、医療と無関係に禁煙する場合も知識として、知っておく必要があるわけで一般にも啓蒙が必要と思われます。

“禁煙パッチだけだして、はいガンパッテちょうだい”指導では、説明義務違反となるかも・・


Changes in blood pressure and body weight following smoking cessation in women
Journal of Internal Medicine
Journal of Internal Medicine Volume 255: Issue 2 266 - 272

平均体重増加は、禁煙継続者 7.6 ± 6.1、 継続喫煙者 3.2 ± 5.8、非喫煙者 3.7 ± 5.2 kg(P<0.001)

平均収縮血圧増加は20.9 ± 16.8, 19.1 ± 15.8 and 16.1 ± 16.3mmHg(P<0.001)

平均拡張期血圧は 6.2 ± 8.7, 5.7 ± 9.3 and 3.1 ± 8.0 mmHg(P<0.001)
補正後も禁煙者は有意に体重増加、収縮期・拡張期血圧も補正後も有意差あり


高血圧の頻度は継続喫煙者、非喫煙者に比較して多い [adjusted odds ratio(OR): 1.8; CI: 1.4?2.5]

by internalmedicine | 2004-07-09 11:00 | 動脈硬化/循環器  

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