レビュー ストレス:心血管疾患への悪影響 "allostasis"
2007年 09月 25日
とくに、ストレスによる“心血管障害”という話を聞くと・・・いつも、それを思う
わかってるようで、わかってない、誤用も多い “ストレス” という言葉
実際、ストレスを回避あるいは軽減することでほんとに心血管疾患イベントは減少するのだろうか?それも言及されている。
Review The cardiovascular toll of stress
The Lancet 2007; 370:1089-1100
心理的ストレスは、交感神経・副交感神経のバランスとHPA系のトーンへの変化をもたらし、急性に、心筋梗塞、左室機能低下、不整脈など関係する状態、そして、慢性的には、動脈硬化プロセス促進的に働く可能性があるという
Sir William Osler“Emotional causes, violent exercise, and fevers all produce great increase in the rapidity of the heart's action. The extremely rapid action which follows fright may persist for days, or even weeks.”
情緒的な原因、激しい運動、熱はすべて心臓の動きを急激に増大させる。
この極端な変化が、恐怖をもたらし、それが数日、あるいは、数週間持続することがある
"allostasis"という言葉は、環境や心理的変化に対して生物学的ホメオスターシスを維持する過程をそうよぶ。この維持機能はHPA系、自律神経系、心血管、代謝、免疫系を含むもので、内的・外的ストレスから体を守る働きをする。
ストレス反応の活動性をもたらすおもなシステムは視床下部・脳幹に存在する。視床下部PVNに存在するcorticotropin-releasing hormoneやarginine-vasopressin neuronであり、橋や延髄に存在する青斑核-norepinephrine系。視床下部や下垂体への求心経路はさまざまなところから集まる。青斑核、他のnorepinephrine-releasing brainstem nuclei、感覚・情緒的トリガーからの皮質input、全身性mediator、たとえば炎症性サイトカインなどである。動物においてはserotonin刺激はニューロンでのcorticotropin-releasing hormoneを産生を刺激し、norepinephrineを産生し、青斑核のそれは副腎コルチコステロイド、GABA、corticotropin-releasing hormone、norepinephrine、いくつかのオピオイドペプチドにより抑制される。
HPA系はPVNのcorticotropin-releasing hormoneによる活性化される。corticotropinの有利は下垂体からのcorticotropin放出wお促進し、glucocorticoidの産生を刺激する。コーチソールは中枢性のエネルギー保存的効果、gonadotropin・GH・TSH遊離抑制などをもたらすが、炎症や免疫系統の抑制効果、脂肪の中心分布、インスリン感受性低下、商圧という体への影響である。
ストレスは、急性・慢性の心血管疾患に対して明らかに重要な、潜在的なリスク要因である
βアドレナリン拮抗剤の有効性が認めれていることでも明らかである。
心血管疾患を有するあるいはリスク状態にある対象者に対して、ストレス減少のよく対照された研究は少ないが、高血圧、インスリン抵抗状態のような心血管リスクや虚血、不整脈、ポンプ失調などのアウトカムに、急性・慢性の心理的ストレスが関連するという強い・一定したエビデンスがある。
故に、医師たちは、慢性の精神状態と心理的ストレッサーと、心血管疾患リスクの関連を認識し続ける必要がある。重篤な患者の症状ではnegative emotionとの関係が生じる。非必要な心理的な緊張を和らげるよう、健康なライフスタイルによりストレス軽減、anger management、mental illnessの治療を行わなければならない。
ストレスと心血管系についての研究でもっとも期待できるものは、遺伝子研究発達により可能となっている。ストレッサーの神経学的プロセス、ストレスホルモンの末梢での反応に関わる遺伝子の同定によりストレス反応が個別化され、治療目標として重要な分子学的経路の判明されてきた。ストレスが心血管系へ障害を与えるメカニズムを明らかにし続けることで、ターゲットとするエビデンスに基づく介入の出現が期待できる。
薬物的、行動療法的ストレス軽減法は治療・予防対照の臨床的トライアルがなされている。
生物学的なあり得そうな説明、リラクセーションテクニック(例:瞑想、ヨガ、祈り)に関わらず、自立神経の活動性を一過性に修正する可能性はあるのだが、行動療法・心理療法によるストレス軽減効果の有効性のエビデンスは心血管イベント減少効果に関して限定的である。
ランダム化トライアルにて、ストレス減少介入を行った患者に心血管イベント減少を示す傾向はあったが、介入および研究対象にheterogeneityが見られ、心血管イベントは言うまでもなく、ストレス測定項目において、一定した効果が見られ状況である。
薬剤治療は限定的範囲でのみ行われており、SADHART研究では、setraline24週とプラセボ割り当てにて、臨床的エンドポイントの相違が見られるパワーがなかった。治療後の駆出率(プライマリアウトカム)、自律神経、心拍・血圧・心拍変動などの血行動態トーンの変化に関して有意な差がなかった。血小板活動性はsertralineにより減少したが、この減少はセロトニンへの直接効果によるものであった。特異的なアウトカム(プラセボ群で5名死亡、sertraline群で2名死亡、心筋梗塞7名vs5名)への好影響がみられた。・・・この研究は臨床的に明らかなエンドポイントを有する研究が必要と思われる。
ENRICHD研究は、2500名近くのうつや低社会サポート、あるいは両者で、心筋梗塞を有するもので、認知運動療法 vs 通常ケアの対照調査、うつ社会的孤独スコアに改善はあったもののイベントフリー生存率に影響はなかった。しかし、subset分析でSSRI処方のうつ患者で、死亡・再発心筋梗塞の40%の減少が見られたという報告
by internalmedicine | 2007-09-25 09:50 | 動脈硬化/循環器

