心血管疾患イベントHDLコレステロールの重要性、特にスタチン治療中患者において

コレステロールと心血管疾患の関係に関する情報は、日本においては、その食生活・人種特異性の問題とともに、薬害至上主義者の存在やメディアのセンセーショナリズム・サプリメント業者の広告主への配慮などもあり、ごちゃごちゃしている現状があると思う。

HDLコレステロールというのはその臨床的意義にくらべて高HDLが良いというだけで低HDLの危険性が軽視されている?・・・最近、HDLがこの業界のトレンドのようで・・・

HDLコレステロールは独立した心血管疾患指標であり、Framingham Heart StudyではLDLコレステロールよりより強力な冠動脈リスク要因とされている。HDL 1mg/dL(0.03mmol/L)増加毎に2-3%冠動脈疾患リスク減少する。
LDLコレステロール低下を目的として介入トライアルでは治療群の主要心血管イベントの減少が見られ、LDL40mg/dL(1.0mmol/L)で24%の主要心血管イベント減少する。だが、スタチン治療トライアル全部において、治療群でリスクが残存する。これの一つの説明として、HDLコレステロールがベースラインで低値の場合主要心血管イベントの予測因子として残っているからではないかという説明が発生する。スタチン4つのトライアルのpooled analysisで、HDLコレステロールの中等度程度増加で冠動脈性の動脈硬化減少させるという報告があり、HDLコレステロールのpropositionがLDL低下治療に関して独立した因子として浮上してきた。

下記研究でのHDL5分位は、<38mg/dl 、38以上<43mg/dl 、43以上<48mg/dl、48以上<55mg/dl、55mg/dl以上というきわめて事細かな分類

HDL Cholesterol, Very Low Levels of LDL Cholesterol, and Cardiovascular Events
N Engl J Med Volume 357:1301-1310 September 27, 2007 Number 13

Treating to New Targets (TNT) study のpost hoc analysisであり、9770名のHDLコレステロールの予後推定評価。
プライマリアウトカムは主要心血管イベント(定義として、冠動脈疾患、非致死的非処置心筋梗塞、心臓停止後蘇生、致死的・非致死的卒中)
スタチン治療3ヶ月後のHDLコレステロールと主要心血管イベント初回発生時までの時間を単変量・多変量にてLDLコレステロールstrataにて、70mg/dL未満と評価。

スタチン治療を受けている患者のHDLコレステロール値は、TNT研究の主要心血管イベントの予後推定因子であり、HDLコレステロール値は持続的な因子と考えられ、HDLコレステロール値の5分位に従い層別化される。
スタチン治療中のLDLコレステロール値に従い層別化すると、HDLコレステロールと主要心血管イベントの相関はボーダーながら有意であり(p=0.05)、LDL<70mg/dLにおいてでさえ、HDLコレステロールの最高5分位は、最低5分位に比べて主要心血管イベントのリスクが少ない結果であった。







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by internalmedicine | 2007-09-27 10:26 | 動脈硬化/循環器  

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