新生児・乳児発熱のアウトカム ・・・・ 税金の使われ方
2004年 03月 10日
私の専門とする呼吸器分野でも喘息を小児喘息とよび、成人喘息と区分けすることもあります。明確な区分をするより小児・成人・老人、男・女、合併症、嗜好、性格などの特性として考えるべきではと考えるときもあります。GINAという外国の喘息ガイドライン(GINA)では5歳という年齢をひとつの線引きにしておりますし・・
小児医療の問題点は、こういった問題より、乳児・新生児期の病状が急変するほうが問題で、親御さんも医療側もとても神経をすりへらすこととなります。
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新生児(Neonate) 生後28日以内
乳児(Infant) 生後1年未満
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とは別に、60日齢未満では判明するまで敗血症を考慮すべきで、リスクがこれ以上の年齢に比べてリスクが大きい。この年齢ではまだオポソニン化が十分に働かず、感染に抵抗力がない。(参考)
また、必ずしも熱のない敗血症が存在し、低体温症さえ存在する。
参考
というようにむずかしい問題があります。
熱発を有する新生児はルーチンに敗血症を除外する検査を行い、可能性があるときは2剤の抗生剤投与をすべきなどとかかれております。
これをみれば、小児科医の存在そのものよりこのような対処がされないようなところで、しかるべき施設以外2月齢未満の発熱はみるべきではないのかもしれません。
米国医師会雑誌にはこの非常に難しい年代の発熱の統計が記されております。
新生児の発熱の管理とアウトカム
Management and Outcomes of Care of Fever in Early Infancy
JAMA. 2004;291:1203-1212.
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乳児の36%が入院、75%で検査、抗生剤57%治療。
多数は入院外で治療
細菌血症は1.8%(2.4%で検査)、細菌性髄膜炎0.5%
元気に見える25日齢以上あるいは38.5度未満の発熱では細菌血症・細菌性髄膜炎は0.4%
尿路感染の頻度5.4%、中耳炎12.2%、上気道炎25.6%、細気管支炎7.8%、胃腸炎7.2%
42%のエピソードでガイドライン遵守されていたが、細菌血症および細菌性髄膜炎初診時63例中61例で抗生剤使用されていた。
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小児医療の問題点は小児科医に診てもらえばよいと言うことではなく、しかるべき体制があるべきです。私的病院の経営体制では現在では不可能であり、国公立病院に税金を注入するか、現実に小児救急のできる体制を確立すべきとおもいます。
夜間診療所の診療報酬増加や電話応対でこの方面の救急医療体制をごまかそうとしているとしか思えないのです。国は無駄な道路や人工島をつくるよりこの方面にしっかりとお金をだすべきでしょ。
人口50万人:一カ所の体制をつくるとすれば全国に200程度
小児科医師を10名確保して
年間維持費を5億とすれば全国で1000億円です。
鹿児島県は160万人程度で小児が少ないので、3カ所としても年間15億円です。
人工島のようなくだらない施設に建設コストだけで毎年16億円超なのに・・・
http://www.minaminippon.co.jp/jinkoutou/page2.htm
おかしなお金の使い方をするものです。
by internalmedicine | 2004-03-10 10:10 | くそ役人