左室機能低下患者へのACE阻害剤+ARB併用の副作用

ACE阻害剤+ARB併用をやたらと推奨された時期があった。

興味あることに・・・・臨床経験の幅の広さのおかげか、MRのおかげか、一般医家の方がACE阻害剤の副作用について知識が有るという報告があった。

実際、医師会主催の講演会なるものに行くと、講師である先生方は理論を優先する傾向があるようで、副作用に関してさほど触れないこともある。特に基礎研究主体の講師はそういう傾向が強い。ACE阻害剤+ARB併用をやたらと勧めているある大学関係者たちの講義を聞くたびにそう感じていた。


Adverse Effects of Combination Angiotensin II Receptor Blockers Plus Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors for Left Ventricular Dysfunction
A Quantitative Review of Data From Randomized Clinical Trials
Arch Intern Med. 2007;167:1930-1936.

4研究、総数17337名、25[11-41]ヶ月間フォローアップ

ARB+ACE阻害剤 vs ACE阻害剤対照

慢性心不全患者での薬剤中止、併用群で多い

以下の患者では副作用のため中止増加

慢性心不全患者 (RR, 1.38 [95% CI, 1.22-1.55])
有症状左室機能異常を有する患者(RR, 1.17 [95% CI, 1.03-1.34])


両条件でさらに腎機能悪化 (RR, 2.17 [95% CI, 1.59-2.97] 、 1.61 [95% CI, 1.31-1.98]), 高カリウム血症 (RR, 4.87 [95% CI, 2.39-9.94] 、 RR, 1.33 [95% CI, 0.90-1.98] )、そして有症状低血圧(RR, 1.50 [95% CI, 1.09-2.07], and RR, 1.48 [95% CI, 1.33-3.18])




話は変わるが、選択的アルドステロンブロッカーなるものが発売になる。抗アルダクトン薬というカテゴリーでなく、新しいカテゴリーの薬剤というスタンスとのこと。スピロノラクトンが「受容体選択性が低く、同じステロイドホルモンであるプロゲステロンの受容体をもブロックしてしまうため、内分泌・性腺系の副作用(女性化乳房、月経異常など)が起こること」で区別しているとのこと。

併用などに関してデータに乏しいというのがホントのところだろう・・・用心すべしと自答

by internalmedicine | 2007-10-09 09:05 | 動脈硬化/循環器  

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