イソジン含嗽誘発性甲状腺機能低下症

製薬会社だけでなく、医療機器メーカー、在宅医療メーカー、検査会社などからいろんな学習パンフをもらう。失礼ながらあんまり見ないのだが、結構ためになることが書かれていることもある。

甲状腺臨床<BMLの配付資料>をみて、ヨード含有性含嗽剤により生じた甲状腺機能低下症の事例がかかれていた。
Povidone Iodine-induced Overt Hypothyroidism in a Patient
with Prolonged Habitual Gargling: Urinary Excretion of
Iodine after Gargling in Normal Subjects
(DOI: 10.2169/internalmedicine.46.1899) PDF

イソジン含嗽誘発性甲状腺機能低下症_a0007242_9594060.jpg

10年以上にわたり熱心にイソジンがーぐるにて含嗽していたところヨード誘発性の甲状腺機能低下症となった。含嗽を中止したところ、TSHは急速に低下した。しかし、この患者はその後、昆布を多食するようになったため、一時的にTSHが増加した。ヨードの過剰摂取を止めるようにしじしたところ、現在にたるまで、甲状腺機能は正常である。(注釈)
以前、
インフルエンザにうがいは有効か? というより安全性も考えて使うべき 2004年 12月 06日で触れたが甲状腺の専門家からこの報告があったのは注目すべき事と思う。



ここで参考になったこと・・・

甲状腺機能亢進症を疑ったら
fT3、fT4、TSH
TSHレセプター抗体
TRAb、TPOAb(レセプト注記:厚労省保医発 第0927001号 H18.9.27


この通達をみると甲状腺の項目は・・・
「10」の抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体を、同区分「4」の甲状腺自己抗体検査(マイクロゾーム抗体の場合に限る。)又は同区分「10」の甲状腺自己抗体精密測定(マイクロゾーム抗体の場合に限る。)と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
・・・これのみなので、疑わしい・・・

当方の開業している地域は最初からTRAbするだけで査定されるほどアホな地域だから・・・まぁ無理な話


無痛性甲状腺炎では
123I甲状腺摂取率が役立つ。簡易的には尿中ヨードだが、今のところ保険未適用(無痛性甲状腺炎の場合尿中ヨード増加、バセドウ病ではfT3、fT4、TRAbと野比率に差)


亜急性甲状腺炎は
痛みを訴える、経過をみればホルモン低下

甲状腺機能低下には
TSH+fT4を行うこと(確認されたらTRAbも)


<治療>
バセドウ病:MMI、PTUを処方するときは
最初2週間に1回、白血球・分画をしらべ2-3ヶ月続けることを指導しパンフを配布する(頻度は千に3つ)。妊婦の場合MMI、PTUのどちらでも可とする考えがある。ただ、奇形率でガイドラインでは挙児希望者はPTU第一選択となっているためそうするのが無難


甲状腺機能低下:
2週間後とホルモン測定し、あと安定期は2ヶ月に1回
TSH 5-10以下なら治療を


老人のTSH:
JCEMでは治療すべきとする論文有り
TSHを徐々に調整して1~2程度に(1.6~1.7程度という話と、人によってばらつきがあり0.7~0.8、3~4という人もいるという話も)


by internalmedicine | 2007-10-13 08:31 | 内科全般  

<< 肥満てそんなに悪いのか? 肥満児童対策プログラム中途半端... >>