かぜ薬、咳止めは子供に使用制限すべきか:アメリカOTC薬規制の攻防

ここ数週間、アメリカでは、乳幼児を含む子供へのOTC薬の咳、感冒薬がやり玉に挙がってきている。

FDAがメディアを通じて小児への沈咳・感冒薬への新しい規則に関するプランを表明したからである。その意図に基づいてFDA委員会が招集された。
Nonprescritption Drug Advisory Committee Meeting
Cold, Cough, Allergy, Bronchodilator, Antiasthmatic Drug Products for Over-the-Counter Human Use
October 18 and 19, 2007
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/07/briefing/2007-4323b1-02-FDA.pdf


medpagetoday.com
から翻訳すると
FDA関連委員会は満場一致ではないものの、2歳未満での使用すべきでないと推奨し、意見が分かれたが、6歳未満でも使用すべきではないとした推奨を出した。
(See: FDA Panel Agrees Pediatric Cough and Cold Remedies 'Ineffective')

消費者団体はマーケットからの撤退と、2歳未満の子供での使用を避けるべきという表示を要求している。

一方、咳や鼻水がでて、眠れない子供に対する薬を探している親も異議を唱えるだろう。
適切に使用していても有害という証拠がない以上、薬を簡単に使えるようにし続けるべきであると主張する医師もいる。

医師であるブロガーのRob医師は、代換治療にはノータッチなくせに彼の患者の多くが有効であるという薬品へのみ疑問を投げかけていることに対して、”FDA's actions in the cough-and-cold arena harmful”と呼んでいる。 (See: FDA Does Herbals Good?)



日本ではOTC薬の安全性に関してあまり議論がされないし、なぜか薬害アピールグループもOTC薬には静かな気がする。

小児へのかぜ薬、鎮咳薬中止すべき? 2007年 03月 03日でも述べたが、麻黄湯だって”ephedra含有サプリメントの心血管、中枢疾患への副作用”と同様の副作用を生じる可能性は十分にあり、タミフルより危険かもしれないのに、なぜか、こちらへの反応は少ない。
流感前後の異常行動に関して、OTC薬剤の関与が否定されているのかという疑問をわたしは以前から持っているのである。

おりしも、10月24日以下の報道がなされている。
現時点で因果関係見られず タミフルと異常行動で
 厚生労働省は24日、インフルエンザ治療薬タミフルと異常行動の関係を、動物実験など基礎研究を通じて検討する専門家作業部会を開き、製薬会社による一部の実験結果について議論した。同省はこれを踏まえ「現時点では因果関係を示すような結果は出ていない」との見解を示した。

 実験は製造元のロシュ社(スイス)などが実施。現在も継続中なため、厚労省は「今回のデータだけでは結論は得られていない」としている。

 実験は、血液中のタミフルが脳内に移行するかや、脳内で情動や行動などに関与する中枢神経系受容体に作用するかなどを調べる。これまでのところ、投与する濃度を上げても、中枢神経系に影響するような結果は出ていないという。

 タミフルについては動物実験のほか、臨床試験や疫学調査も行われている。厚労省はこれらの調査結果を総合的に踏まえ、因果関係について判断する方針。
(共同通信社) http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20071024010007111.asp


11月になれば日本でも風邪薬OTCのコマーシャルメッセージが多くテレビで流れるだろう。

“テレビコマーシャルは1%未満の真実と、99%以上の嘘とイメージからできあがっている”
(出典不明)

by internalmedicine | 2007-10-27 09:15 | 呼吸器系  

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