偶発的なMRI異常

脳ドックで見つかった無症候性脳梗塞で抗凝固・血栓治療・・・って、いまのところ、とんでも医療だと思うのだが、これを「かくれ脳梗塞」と言い換え、もしくは、わざと梗塞そのものまで概念を拡大して混乱させて治療対象を拡大してるのではないかと疑わしき言動を行う医師がいる。


日本ではCT同様、MRIが広く行われている。結局は患者のニーズだと思うのだが、患者はなにか高い検査機器であればすばらしい診断ができ、それが治療に直結していると勘違いしている。
たまたま見つかった病変故に悩み苦しむ場合だってあるというのに・・・


Incidental Findings on Brain MRI in the General Population
N Engl J Med Vol. 357:1821-1828 Nov. 1, 2007 No. 18
一般住人における偶発的にみつかったMRI異常の内訳は、
無症候性脳梗塞 7.2%(145/2000,平均年齢 63.3歳 45.7-95.7歳)
脳動脈瘤 1.8%
良性原発性腫瘍 1.6%;主に髄膜腫

無症候性脳梗塞、髄膜腫は年齢とともに、白質が大きいほど増加

動脈瘤は年齢におうじた頻度増加はみられない


臨床的に脳腫瘍のような重大な異常は1.1%、1.7%という報告がある。

髄膜腫や小動脈瘤の頻度がこの報告では非常に多い。実際生涯無症状のままであることがほとんどで、剖検の時に髄膜腫の半数が見つかることからも想像できよう。剖検では60歳超で3%の頻度であり、大多数が1cm未満である。
小動脈瘤のマネージメントガイドラインがあり、未破裂、無症状の90%超で直径10mm以下である。今回の報告では3例の動脈瘤をのぞき7mm未満、2例をぞのき全部が前交連である。このサイズで4年間破裂リスクは0%という報告がある。ただ、今回の事例は一般住民対象のため、いままでの研究対照群である家族歴のあるもの、SAHの既往があるものなどをのぞいている。そして、この治験でも7mm未満の前交連の動脈瘤を有する人に対してはフォローアップや治療は行ってない。

問題の無症候性脳梗塞だが、その頻度は一般住民では年齢とともに増加し、加齢現象ともいえるため、老人に非常に頻度が多くなる。確かに、卒中や認知機能低下と相関が見られるだろうが、予防に関してはランダム化トライアルで評価されていない。

この論文には、こんな感じの附記が掲載されている。
Asymptomatic brain infarcts
Lacunar infarct:巣性実質異常≧3 mm、<15 mm脳脊髄液同様のシグナル・・・。皮質灰白質に異常がない。基底核、内包、橋、放線冠に存在。VR(Virchow-Robin)腔と鑑別が必要で、Lacunar infarctはFLAIR imageでのhyperintense rimが存在せず、シャープであり(VR腔はより線状であり、形が分葉されている)、部位が重要(VRは脳の頭頂部もしくは前交連あたり)である。

脳ドック学会では、血管周囲腔がT1WI やFLAIR で低信号を呈さない、ラクナ梗塞の辺縁がFLAIR にて高信号を呈さない、ラクナ梗塞がT1WI にて低信号を呈さないを鑑別点としているようである。


Subcortical infarct:ラクナ同様のMRIの特徴だが、≧15mm
Cortical infarct:皮質灰白質の巣状実質異常、脳脊髄液と同様なシグナルで、FLAIR imageでhyperintense rimを伴い、テント上の局在。様々な程度の組織損失があり、近接脳回が明瞭下肢、同側の脳室拡大も観察される。


Primary tumor, benign
・Meningioma: extra-axial lesionで、T1強調では灰白質と同・低密度、PD imageで様々なシグナル強度を呈する。組織内石灰化 and/or hyperostosisがみられることがある。硬膜に広く存在し、大きくなれば、周囲に中等度の血管性浮腫を伴う
・Vesticular shwannoma
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by internalmedicine | 2007-11-03 11:08 | 医療一般  

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