電気けいれん療法

電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)を一方的に非人道的と批判しているサイトがある。しかもATMSがECTの肩代わりになると一方的に主張しているサイト・・・

電気ショック療法でググればそいううサイトを多く見かける。

こういう類の表層的な意見にこの国の医療そのものも汚されているのである。
一方、自殺は日本で年間3万人を超えている。1日に80-100名が自殺でなくなり、自殺者のほとんどがなんらかのmental disorderなのである。

有効な治療法をそのやり方が気に食わないからと言って、一方的に否定するのは間接的に自殺をほう助していることにつながる。

この論文をみれば、ATMSの効果そのものが否定的であるということがわかるだろう・・・
Antidepressant effects of augmentative transcranial magnetic stimulation
The British Journal of Psychiatry (2007) 191


NEJMにおいてこの治療法のまとめが記載されていた。
日本の医療のほうの問題点も浮かびあがろう・・・

Electroconvulsive Therapy for Depression
N Engl. J Med. Volume 357:1939-1945 Nov 8, 2007 Num 19
APAはECTを、資格ある精神科医がAPAのECTに関するガイドライン “Task Force on Electroconvulsive Therapy”に従えば、承認するとしている。


ECTは、治療患者の大多数のうつ症状適切な改善効果をもたらす。
Consortium for Research in ECT (CORE) では、急性うつエピソード期間中の217名のECT短期コースで75%の寛快の成績。4週までに65%の改善。
UKのシステミックレビューでは、256名、6つのトライアル(UK [United Kingdom] ECT Review)で、ECT effect size(sham ECTと有効性比較)で 0.91で、18トライアル1144名で、0.80(薬物療法との比較)。ただ、これらのデータは短期的で、薬物療法の適切な投与量以下のものや処方不適切例を含むものであった。


メタアナリシスによると、ECTはpsychotic subtypeの場合は抗うつ薬単独より有効で、併用薬物療法より有効である傾向も示された。

253名の研究では、CORE群において、psychotic subtypeの患者ではECTの反応性がそれ以外よりよく、高齢者がより奏功率が高い。

ECTの有効性は技術に依存する部分がある。奏功率が20-80%とばらつきがあり、治療パフォーマンスに依存する。
二重盲検ランダム化対照治験で電極装着と用量(相対痙攣閾値)と有効性、副作用に大きな関連が認められた。
1408名、22トライアルのUK ECT レビューでは、右片側装着より両側電極装着がより軽度有効(effect size 0.32)であるが、右片側ECTではその効果は用量依存性であるという報告もある。用量不十分であるトライアルも多くみられた。右片側電極高用量と両側ECTと差がないという報告もある。右側片側電極は認知的副作用頻度が少ないという報告、特に長期的フォローアップにおいて報告がある(Arch Gen Psychiatry. 2000;57:425-434.  Arch Gen Psychiatry. 2000;57:438-444. )。

市民病院で、ECT30-47%の成功率の一つの報告があり、臨床トライアルの成績としては十分といえない成績であり、この乖離は背後の状況によるだろうが、ECTを早期に中断する傾向があるためとも考えられる。





ガイドライン:
Task Force on Electroconvulsive Therapy. The practice of electroconvulsive therapy: recommendations for treatment, training, and privileging. 2nd ed. Washington, DC: American Psychiatric Publishing, 2001


多くのうつガイドラインではECTは、うつ治療困難例にのみ推奨され、他の治療困難な5番手、6番手、7番手の治療方法である。また、APAは再発予防にも推奨している。


イギリスでは、National Institute for Clinical Evidence がECT適応を重症うつ、カタトニア、遷延・重症躁に対して限定。APAとは異なる適応で、維持治療としては推奨していない。

APAt task force ガイドラインは患者選択、スクリーニング、ECT施行方法、トレーニングの詳細4次クライテリアを設定。米国全体のレベルの品質保証プログラムでも、ボードでもない。
米国より他国のほうがECTのモニター、質の確保に関しては進んでいる国が多い(J ECT 2004;20:166-173. )。

by internalmedicine | 2007-11-08 10:58 | 医療一般  

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