高血圧治療患者教育のための医師教育

どんなにすばらしい薬剤でも使われなければ、意味がないわけで、Adherenceという問題がクローズアップされてきている。飲まない患者が悪いといってしまえばおしまいなのだが、私が臨床で感じている薬剤Adhehrence阻害因子は結構多い。

目立つのは・・・
・“高血圧=有症状”であると信じている人たちの存在;高血圧治療の目的を知らない・忘れている
・薬剤は害であるという一方的情報(近隣やサプリメント業者、とんでもテレビ番組などによるミスリード)
である。

日常臨床で一人ずつこの誤解を解いていかないといけない・・・そういう重要な作業が内科の仕事でもある。・・・まぁ次回の診療報酬改訂では国はそこのところを軽視する動きにあるようだが・・・まぁ馬鹿役人どもはこの高血圧治療の目的を知らないのだろう・・・

高血圧治療患者教育のための医師教育により、降圧治療効果がいかに現れたか・・・という報告

Effect of general practitioner education on adherence to antihypertensive drugs: cluster randomised controlled trial
BMJ 2007;335:1030 (17 November)
200名の患者参加し、178名89%が6週間フォローアップ完遂

Adherenceは有意に通常のケア治療群より特殊ケア群の方が高い
(非補正平均正規投与量に対するパーセンテージ日数<percentage days with correct dose> 48.1%, 95% CI 35.8% to 60.4%  vs 32.4%, 22.6% ~ 42.3%; P=0.048)

Adherenceは家族に励まされた教育レベルの高い人たちでは高く(P<0.001) 、薬剤の効果を信じているヒトほど高く、薬剤の目的を説明できるヒトほど高い(P<0.001).


JNC VIIベースの治療アルゴリズム

非薬物治療(食事、運動、禁煙)と薬物的介入(低コスト・適切なジェネリック使用→単剤投与レジメンを優先→計画化されたフォローアップ受診→目標血圧値到達のための調整段階的ケア)
治療説明や適切なコミュニケーション戦略を有する患者の満足のいくコンサルテーションセッション


特異的なサブグループである糖尿病や終末臓器障害を有する患者などでは異なるが、介入、ガイドラインを遵守

症例シナリオやインターラクティブなトレーニングセッション
血圧治療マニュアルを提供し、マウントできる治療カルテを読みやすくすることなど


全GPはトレーニング前とトレーニング後試験を実施

受講トレーニング証明書を訓練終了後与えた





高血圧はもっともコモンな心血管リスクであり、死亡に関するリスクとしてはもっとも高いものであるそして降圧剤のベネフィットは確立しているのにかかわらず、コントロールはまだ不良のままである。
(Arch Intern Med. 1998;158:655-662. )

また、高齢者でも降圧治療は意義があるという報告(The Hypertension in the Very Elderly Trial (HYVET))ももうすぐでるそうだ

by internalmedicine | 2007-11-16 10:36 | 動脈硬化/循環器  

<< PTSDと喘息の関係は遺伝要因... 脂肪肝とインスリン抵抗性が治療... >>