SIRT1活性化小分子の2型糖尿病への治療の期待

長寿遺伝子SIRT1を活性化する強力な物質を2型糖尿病モデルでのこころみで、マサチューセッツのChristoph Westphal of Sirtris Pharmaceuticalsというところの動物実験

 サーチュイン(Sirtuin)はNAD+依存性脱アセチル化酵素ファミリーの総称であり、中でも過剰発現により個体の寿命延長効果を示すSIRT1が近年注目を浴びている。またサーチュインは寿命のみならず、アポトーシスや細胞周期などにも大きな影響を及ぼすことが知られている。 (参考引用:http://www.biol.tsukuba.ac.jp/tjb/Vol5No1/TJB200601200200775.html)

Small molecule activators of SIRT1 as therapeutics for the treatment of type 2 diabetes
Nature 450, 712–716 (29 November 2007)

resveratrolの構造と無関連の分子を同定し、雑に言えば1000倍の能力をもつ物質を見つけたとのこと。resveratrolは高脂肪食のマウスの健康年齢を延長した。こういった効果だけでなく、齧歯類のグルコース低下作用と運動耐容能増加作用が示された。

SIRT1という加齢減少をコントロールする遺伝子を標的にした、デザインされた小分子の会は初はおそらく初めて
sirtuin familyのメンバーは全ての臓器でカロリー制限の有用性・健康寿命延長を示す。
SIRT1活性化するのはresveratrolだけでなく、その1千倍もの能力をもつ分子が開発されたのである。


ただ、カロリー制限なくカロリー制限と同じ効果がえられるか?
・・・開発者たちは楽観的に考えているようで、「人や様々なモデルでは加齢現象をコントロールする遺伝子であるSURT1をカロリー制限、運動により誘導できる。そしてresveratrolや今回のそれより1千倍の能力をもつ小分子はカロリー制限と類似した効果をもたらすかもしれない」と答えている。

主要な糖尿病モデルの3つ、Diet-Induced Obesity すなわち DIO mouse、ob/ob mouse、 Zucker fa/fa ratで インスリン感受性亢進を示し、インスリン値低下をもたらした。


糖尿病だけではなくAlzheimerやALS、癌、炎症などにこの応用が期待されると著者ら・・・Nature Podcastから引用



 サーチュイン(Sirtuin)はNAD+依存性脱アセチル化酵素ファミリーの総称であり、中でも過剰発現により個体の寿命延長効果を示すSIRT1が近年注目を浴びている。またサーチュインは寿命のみならず、アポトーシスや細胞周期などにも大きな影響を及ぼすことが知られている。 (参考引用:http://www.biol.tsukuba.ac.jp/tjb/Vol5No1/TJB200601200200775.html)




自然界にあるものを人間の勝手な判断で、善悪と名付けて良いのだろうか?・・・善玉コレステロールのネーミングにいつも思うことである。安易に長寿遺伝子と命名して良いのか、後年、別の働きが分かってアチャーっとならないのだろうか・・・などと素人は思ってしまう。


ところで上記分子の薬剤化はまだ先だろうから、Resveratrolに注目が集められている。
そして・・・すでにサプリメントとして販売されている。ただその含有量にばらつきが見られ、動物実験の当該量とヒトでの投与量に乖離がないかどうかという疑問。人間の安全量とされる5-10mg/dayと動物実験の4mg/kg投与量が果たして同等といえるかどうか?それに種特異的な有害性、有益性の分析が十分でないことも理解されるべきであろう。

trans-Resveratrol毒性報告(pdf)
General Toxicology
9.1.1 Human Data
Adverse effects of resveratrol in humans have not been reported. InterHealth (Concord, CA)reported that the recommended dosage of 5 to 10 mg per day was "entirely safe" (Turner, 1999).
Recently, the National Cancer Institute (NCI) initiated preclinical toxicity studies on transresveratrol;clinical trials may follow (AIM, 2000).

by internalmedicine | 2007-12-01 08:33 | 動脈硬化/循環器  

<< 呼吸器疾患患者の旅行は安全か? AJOG子宮頸部癌ガイドライン >>