PTSDの親は子孫にてやはりPTSDを生じやすい・・・低コルチゾール値とPTSD感受性

PTSD発症の感受性獲得の仮説を支持する新しいエビデンス

PTSD(Post-traumatic stress disorder)はしばしばコルチゾール産生低下と関連し、この研究は少なくとも片親がPTSDであるこどもの血中濃度を調べたもの。外傷イベント暴露後、疾患発症と関連する事前の疾患感受性が、血中コルチゾール値と関連するかもしれない。
PTSDを有する外傷生存者の子孫は、有しないひとの子孫より、PTSDの頻度が高いので、その子孫の基礎的コーチゾル分泌のパターンを調べることでこの仮説を立証できないかとして研究されたもの

研究者はHolocaust生存者の成人となった子供で、23人がPTSDの親をもち、10名が両親ともPTSDではなく、対象者において、1日の経過で繰り返しコーチゾル測定をおこなった。
16名の年齢をマッチさせたユダヤ住居者たちの個人で両親ともにHolocaustや他の外傷イベントにさらされてない人達を対照としたもの

気分・不安障害はHolocaust生存者子孫の約半数が報告され、対照やPTSDなしの生存者子供では20%であった。
血中コーチゾル値は有意に24時間サイクルでの数時点で、他のグループよりPTSD生存者の子供で低い。PTSDの母親がいる場合は、父親がいる場合より、より強い予測要因となる。
Yehuda R et al. Parental posttraumatic stress disorder as a vulnerability factor for low cortisol trait in offspring of Holocaust survivors.
Arch Gen Psychiatry 2007 Sep; 64:1040.

Journal Watchのコメント(http://psychiatry.jwatch.org/cgi/content/full/2007/1210/1
様々な疑問が生じるであろう・・・

HPA系がPTSD妊娠女性で変化するなら、胎児はHPA機能の変化をもたらすのか?

PTSDへの内因性関羽性マーカーとして低コーチゾルは関連し、低コーチゾル値の人は、外傷性イベント暴露があるなら、PTSD発症になりやすいのか?

環境的な影響への感受性が高い、子孫のHPA系へ両親のわずかな変化が影響するのか?
(以前のラットの研究では、若年期経験はストレス調整の遺伝的発現を変容させることが示されている.)

これら疑問は現在検索中であり、臨床医のレッスンは、PTSDを有する子供(or 低コルチゾール)はまたPTSDを評価しなければならないということである。




コーチゾル値はPTSD患者のいくつかの研究で正常より低値であり、それは数十年続くことが示されていて、CSF中のCRF値は奇異的に増加している。このパターンは短期持続ストレス状態の患者や大うつの人達とはことなる。後者のパターンはコルチゾール値・CRFともに増加である。PTSDではnegative feedbakの感度増加がみられ、デキサメサゾンによるコーチゾル過剰抑制所見が見られる。この所見はデキサメサゾンによるコーチゾル産生抑制として知られているわけだが、大うつのグルココルチコイド受容体感受性低下を示すものでもある。
PTSDの親は子孫にてやはりPTSDを生じやすい・・・低コルチゾール値とPTSD感受性_a0007242_177761.jpg

N. Engl. J. Med. Vol. 346:108-114 Jan. 10, 2002 No. 2

・・・PTSDは下垂体機能異常なのでは?・・・という疑惑が生じてくる

by internalmedicine | 2007-12-11 14:44 | 精神・認知  

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