日本の勤務医たちもhospitalistになってはどうか?

日米の医療制度の違いは利点・欠点が相反しており、興味深い。日本の勤務医は現在のところ人気薄だが、米国ではhospitalistという病院内で業務を行おうとする医師が増えているし、そのうち主流になるかもしれないという。

もっともhospitalistの場合は勤務医という病院組織の隷属でなく、より自由な立場のようだ。日本の勤務医たちも、契約事項を見直しして、このhospitalistになってはどうだろうか?
・・・というか、開業医もこの形態の病院に参加しても良いはずだ・・・

http://www.acponline.org/counseling/hosps.htmによると、
hospitalisitとは、いわゆる、inpatient physicianであり、the New England Jorunal Medicine誌(N Engl J Med. 1996 Aug 15;335(7):514-7.)上で、1996年に最初に記載された用語である。 70年代・80年代で病院業務を医師たちが行いはじめ、1990年代半ばからこの方式が広がりだした。この経歴を多くの医師が1998年ごろから選択しはじめ人気が出ているのである。

なぜ米国医師たちがhospitalistになりたがるか?
・院内患者にのみ焦点を当てておけばよい-多くのhospitalistは報酬が多く、刺激を求めているのである。
・多くのhospitallsitは救急医療よりより準備の整ったトレーニングを好む
・hospitalist practiceは外来個別開業よりマネージメントが簡単
・hospitalistは初日は忙しいだろうが、開業ベースと比べその診療を構築するまで数ヶ月・数年かかるということがない。
・スケジュール上柔軟性が高い。


このように優勢となるhospitalistによるケアモデルだが、副事象に関する関心は消えていない。この存在がプライマリケア医師や患者への満足するかどうかが確信されていないということでこの研究がなされたもの
 ↓
入院成人患者の大規模後顧的コホート研究で、hospitalistによるケアが、従来の一般内科医・家庭医によるモデルより、入院滞在期間を少々短くしたが、死亡率は同様であったという報告N Engl J Med. 2007 Dec;357(25):2589-2600
2002年9月から2005年6月までの76926名、18歳以上の肺炎、心不全、胸痛、虚血性卒中、尿路感染症、COPD急性増悪、急性心筋梗塞の患者で、US内の45の病院
284名のhospitalist、993名の一般内科医、971名の家庭医の多変量モデル

結果としては、一般内科医患者に比べhospitalistは少々病院滞在期間減少((補正差 0.4 day; P<0.001) )をもたらし、コストを下げる (補正差 $268; P=0.02) が、院内死亡率(オッズ比 0.95; 95% CI 0.85 ~ 1.05) 、14日再入院率 (オッズ比 0.98; 95% CI, 0.91 ~ 1.05). は同様。
家庭医に比べ、hospitalistのケアした患者は入院滞在日数が短いが(補正差 0.4 day; P<0.001)、コスト(補正差 $125; P=0.33), 死亡率 (オッズ比 0.95; 95% CI, 0.83 ~ 1.07)、14日再入院率 (オッズ比 0.95; 95% CI, 0.87 ~ 1.04) は同様。



序文から・・・

家庭医・一般内科医・病院勤務医・診療専門医の仕組みが日本と全く異なるので、参考にはならないのかもしれない。ただ、アメリカも病院システムの再構築が試みられていることは事実である。

10年以上前に最初に記載されて以来、hospitalistはもっとも増加の激しい医師グループである。USでは29%の病院、200床以上では55%で、職員としてこのhospitalistをおいており、12000名超がUSでは働いている。hospitalistはUSでは、じき3万人になるとされ、心臓専門医とほぼ同数となるだろう。hospitalist modelが入院ケアにおいて優性となっているのである。
アメリカの伝統的な入院ケアに対して、このhospitalist modelは大きな利点がある

1)ほぼすべて(時折、終日)急性症状や新しい検査結果に対応することができ、delayを減らし、アウトカム改善をもたらす可能性がある
2)特定の病院特有な複雑な環境になれているので医師がそれになじみやすい
3)hospitalistは経験が加えられ臨床専門家として成長しやすい
4)病院プログラム経費に合わせて、多くの病院では経済的サポートをしているので、滞在期間やコストを減らすよう、病院側は明示的・暗示的にインセンティブをしめすこととなる。
5)hospitalistの存在でプライマリケア医を開業医という形態をとらずともよいということで、患者のケアをするのに病院を転々とさせる必要がないというメリットを有することとなり、1カ所に絞ることは病院への患者の紹介する医師の仕事の質を改善させることともなる。
同時にhospitalist modelは入院時・退院時、転院時にかごや副作用イベントを生じる手渡しを危険性をもたらすこともなる。この中断は患者のケアについての事前の知識が乏しくなり、hospitalistに過剰な診断をもたらし、結果的には入院患者にはメリットのない高コストをもたらすことともなる。



勤務医の悲惨さがやっと語られ出した。病院経営者や役職を持つ医師たちがそれまで当然だと言い放っていて放置されてきた悲惨な現状がやっと表に出され、議論が始まったところである。勤務医というのは昔は医局に、現在は各医療機関に隷属して医療を行うわけだが、医師というdecision makingの手助けをする職業にはやはり独立権が必要だろうと思う。経営に云々されにくい立場にいることが望ましい。

日本の勤務医の問題点の根源はこの隷属性にあるのだと思う。

"当直”でなく"時間外勤務”なのに、日常業務をしていないなどと詭弁を網羅して、国立・公立・私立を問わず、異常で危険な勤務を強要する実態・・・結果的に患者たちを危険な目に遭わせているのである。

こんどはこれに批判のめが集中したら、開業医に今度は時間外勤務を強要させようとしている。夜間の開業医はひとりで受け付けをして検査して診断して薬剤処方をせよと・・・きわめて効率が悪く、危険性の高いことを強要しようとしている。・・・行政のいきあたりばったりさがよくわかるだろう。

効率性を改善するには集約することである。病院に医師を集約し、独立性を担保しつつ、システミックな病院機能を構築することが効率的で、安全性が高めれるはずである。

ひとつのこころみとして、この"hospitalist”制度があるのではないかと思う。・・・経団連あたりから悪利用されないためこのシステムの構築を医師たちで提言しようではないか?

私事だが、私が開業した頃というか、所属した医局の雰囲気だったのだろうか?・・・医局人事に逆らって開業するのに対して後ろめたい気持ちに周りからさせられる雰囲気がある頃であった。開業すると勉強できない、最先端の知識について行けなくなるという危惧も感じると周りは言っていた。私自身・・・専門分野に関して自分を指導してくれる人に依存する年齢でもないと思い開業しても良いと思ったのだ。

by internalmedicine | 2007-12-20 09:24 | 医療一般  

<< 肥満、無呼吸有無での視床下部・... 「インフルエンザにおける異常行... >>