アポトーシス細胞貪食マクロファージのIL10発現調整蛋白Pbx-1とPrep-1
2007年 12月 29日
タイトルとしてややこしいが・・・別々の役割をはたす物質が実は1つだったというときには研究者は興奮するらしい・・・NOなんて特にそうだったし・・・
なにやら興奮だけは伝わるのだが・・・正直言って、わたしのような臨床家には・・・まだそれが現実のものでないだけによくわからない
ホメオドメインはサブルーチン・プログラムって考えるとちょっとだけ分かったような気がする低レベルな私だが・・
Interleukin-10 Expression in Macrophages during Phagocytosis of Apoptotic Cells Is Mediated by Homeodomain Proteins Pbx1 and Prep-1
Immunity, Vol 27, 952-964, 21 December 2007
解説意訳・略訳(http://news.med.cornell.edu/wcmc/wcmc_2007/12_28c_07.shtml)
Weill Cornell Medical College ( New York City)は2つの遺伝子が免疫系サイトカインIL-10の産生に重要な2つの遺伝子を発見。
ループス、1型糖尿病、癌、AIDSまで関係する生化学的経路における"missing link”を充填するものと思われる。IL-10は微妙なバランスをもって健康を維持するように仕組まれていて、「IL-10が多すぎるとウィルスや癌にような体に侵襲を与えるものに対して脆弱になり、ループスのような抗体さによる自己免疫疾患を形成しやすくなる。逆に少なくなると炎症性病的過程に火をつけることとなる」
Immunity (vol. 27)に掲載された論文
体内では、毎秒数百万の細胞は自然のプログラム死を迎える(apoptosis)。健康人ではこの死ゆく細胞、脂肪細胞がスポットであり、マクロファージのような"scavenger"細胞により取り込まれ処理される。しかし、この種の掃除は、広範な免疫機構で始まり、apoptotic cellの存在下でマクロファージはIL-10サイトカインを発現する。IL-10は片方では荒れ狂うT細胞の活性を抑制する。これ自身は良いことだが、T細胞活性が極度に弱まれば、HIV感染者ではAIDSとなり、破壊されゆく乱暴者のガン細胞からの免疫抑制が継続し続けることとなる
IL-10産生と関連するT細胞抑制の研究は医学上役立つことである。
マクロファージの表面マーカー蛋白であるCD36はマクロファージによるapoptotic cellの認識に重要である。CD36もapoptotic cellが周りにあるときはいつでも、IL-10産生のトリガーとしての役割を果たす。
問題は細胞表面のCD36存在にてIL-10産生を導くシグナルはなにか?
Weill Cornellグループは、apoptotic cellにマクロファージが遭遇したときにIL-10産生に導く部位に結合する細胞核の蛋白を見いだした。
transcriptionに関係する2つの遺伝子を見つけた
pre-B transcription factor 1(Pbx-1) と Pbx-regulating protein 1 (Prep-1)—で、もともと胎勢期と白血病のいくつかの病型でしられていたものである。Pbxはホメオドメインとしてしられており、免疫系transcription factorとしての役割が存在したことが大きな驚きであった。
IL-10発現(T細胞抑制)は多くの疾患の病因として重要であるので、この発見はなんらかの治療に結びつく分子学的経路としても考えられる。
ホメオドメイン:ホメオボックス内のDNA配列をencodeする蛋白モチーフ
by internalmedicine | 2007-12-29 09:16 | 内科全般