COPD既往を持たないうっ血性心不全患者への気管支拡張剤投与の影響

COPDでは気道閉塞の可逆性を評価するのが喘息との鑑別でも重要。
一方、うっ血性心不全は喘鳴を伴うこともあり、喘息との鑑別が困難なこともある。

故に、非COPD非代償性心不全患者に確定診断前に気管支拡張剤使用する例がEDで多く見られるようになっている。

結果的にCOPDでないのに急性心不全患者で気管支拡張剤投与された事例の評価をしてみたもの


Bronchodilator Therapy in Acute Decompensated Heart Failure Patients Without a History of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Annals of Emergency Medicine Volume 51, Issue 1, January 2008, Pages 25-34

多くのCOPD既往を持たない非代償性急性心不全患者はICSを受けている。
気管支拡張剤使用は積極的介入・モニタリングをより必要とする。このことは気管支拡張剤の副作用を反映し、より重篤な疾患のマーカーとしての意味があるのかもしれない。


10978名産有の内、COPD既往を持たない患者は7299(66.5%)であり、気管支拡張剤をEMSやEDにて2317名の患者で投与されていた。
COPDでないのに気管支拡張剤投与されている患者は、投与されていない非COPD患者よりED iv 血管拡張剤使用が多く(28.4% vs. 16.9%; 指向性補正OR 1.40 [95% CI 1.18-1.67]) 、入院MVが多い(6.0% vs. 2.4%; 指向性補正OR 1.69 [95% CI 1.21-2.37])。


非COPD入院死亡率は気管支拡張剤使用にかかわらず同様 (3.4% vs. 2.6%, propensity adjusted OR 1.02 [95% CI 0.67, 1.56])



救急受診の”うっ血性心不全患者”疑診例に気管支拡張剤をまず投与することは考えにくい事態であるのだが、なんらかの理由で喘息・COPDの合併を考える場合、考えられる事態なのだろう。では、どうしたらよいか?・・・現実的には代案が考えにくい病態である。

by internalmedicine | 2008-01-04 10:24 | 呼吸器系  

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