EGF遺伝子多形性と肝硬変患者肝細胞癌リスクの関連
2008年 01月 07日
動物モデルにて、肝内のEGF過剰発現が、肝細胞癌(HCC)のtransformationを生じることが判明。TanabeらはヒトのEGF遺伝子SNP、position 61のA→G transition(61*G)、肝内EGF値とHCCの関係を肝硬変患者で調べたもの
このSNPが血中・肝EGF値増加と関連し、2つの症例対照研究にて、G alleleの1-2のコピーを有する患者ではHCCリスクが増加することが判明した
Epidermal Growth Factor Gene Functional Polymorphism and the Risk of Hepatocellular Carcinoma in Patients With Cirrhosis
JAMA. 2008;299(1):53-60.
EGF 61*G alleleからのtranscriptは61*A alleleの半減期の2倍超を示し、EGF 分泌はA/A cell lineよりG/G肝癌細胞cell lineでは2.3倍高知である。
血中EGF値はA/A患者よりG/G患者で1.8倍で、肝EGF値はA/AよりG/G患者で2.4倍
Massachusetts研究の肝硬変患者207名のうち59名がHCCを合併
allel頻度分布解析にてA/A患者と比べG/Gでは4倍のHCC頻度であることが判明 (odds ratio, 4.0; 95% confidence interval [CI], 1.6-9.6; P = .002)
ロジスティック回帰分析にて、Gのコピー数が年齢、性、疫学、肝硬変重症度補正後、肝細胞癌と相関があることが判明(G/G or A/G vs A/A; hazard ratio, 3.49; 95% CI, 1.29-9.44; P = .01).
有意な相関はアルコール性肝硬変・肝細胞癌においてもフランス人患者で確認された
C型肝炎・肝硬変患者にこのSNPを検査する意義はあるのかもしれない。
by internalmedicine | 2008-01-07 09:07 | 消化器