EGF遺伝子多形性と肝硬変患者肝細胞癌リスクの関連

EGF遺伝子多形性が肝硬変患者の肝細胞癌リスクにとても重要ということが臨床レベルで判明

動物モデルにて、肝内のEGF過剰発現が、肝細胞癌(HCC)のtransformationを生じることが判明。TanabeらはヒトのEGF遺伝子SNP、position 61のA→G transition(61*G)、肝内EGF値とHCCの関係を肝硬変患者で調べたもの

このSNPが血中・肝EGF値増加と関連し、2つの症例対照研究にて、G alleleの1-2のコピーを有する患者ではHCCリスクが増加することが判明した


Epidermal Growth Factor Gene Functional Polymorphism and the Risk of Hepatocellular Carcinoma in Patients With Cirrhosis
JAMA. 2008;299(1):53-60.

EGF 61*G alleleからのtranscriptは61*A alleleの半減期の2倍超を示し、EGF 分泌はA/A cell lineよりG/G肝癌細胞cell lineでは2.3倍高知である。

血中EGF値はA/A患者よりG/G患者で1.8倍で、肝EGF値はA/AよりG/G患者で2.4倍

Massachusetts研究の肝硬変患者207名のうち59名がHCCを合併

allel頻度分布解析にてA/A患者と比べG/Gでは4倍のHCC頻度であることが判明 (odds ratio, 4.0; 95% confidence interval [CI], 1.6-9.6; P = .002)

ロジスティック回帰分析にて、Gのコピー数が年齢、性、疫学、肝硬変重症度補正後、肝細胞癌と相関があることが判明(G/G or A/G vs A/A; hazard ratio, 3.49; 95% CI, 1.29-9.44; P = .01).

有意な相関はアルコール性肝硬変・肝細胞癌においてもフランス人患者で確認された


C型肝炎・肝硬変患者にこのSNPを検査する意義はあるのかもしれない。

by internalmedicine | 2008-01-07 09:07 | 消化器

 

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