ACE阻害剤 vs ARBのガチンコ対決

Ann Int Medのシステミックレビューとして表記対決が記載されている。

臨床的にACE阻害剤とARBをどのように使い分けるかは難しい。直接比較の信頼される報告に乏しく、製薬会社から配布されるパンフをうのみにせざる得ない状況である。


高血圧に寄与する合併症・死亡の高頻度に関わらず、コントロールは今ひとつである現状である。効果ある非薬物的介入に加え、多くの患者は薬物治療が必要であり、複数の薬物が必要である。多くの選択枝があるが、頻度が多いのが最近はレニンシステム系阻害剤であり、ACE阻害剤とangiotensin II receptor blocker(ARB)である。
臨床的にはACE阻害剤とARBは効果的のほぼ同等とされるが、どちらが適切なのかは未だ不明。

ACE阻害剤はangiotensin IIを完全にブロックできない。ACE阻害剤はARBに見られない咳嗽(5~20%)と血管性浮腫(頻度推定 0.1-0.2%)という比較的コモンな副作用が存在する。

ACE阻害剤もARBも本態性高血圧に対して有効性が高いが、それら同士の比較、有効性、副作用、有害性などは不明である。



Systematic Review: Comparative Effectiveness of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers for Treating Essential Hypertension
Ann Int Med. Vol. 148(1) 16-29 Jan 1 2008

成人本態性高血圧患者に対する61の臨床研究、ACE阻害剤vs ARB直接比較研究
最低12週、最低20例の患者対象の研究を対象としたもの

長期的血圧への影響はACE阻害剤 vs ARBで類似(50の研究; エビデンス強度:高)

【単剤治療成功比較】

死亡、心血管イベント、QOL、単剤降圧薬使用率、糖尿病進展、左室容積・機能、腎疾患などを含む他のアウトカムでも一致した相違効果は認められない
(長期アウトカム研究は少数)

fairからgood qualityなエビデンスによりACE阻害剤の咳嗽リスク増加が示された。
【副作用としての咳嗽比較

確定的ではないが、副作用イベントによる中断や、長期間持続性に関しては、ACE阻害剤よりARBが優れていた。

【副作用イベントによる中断】

どのACE阻害剤、ARBで効果のある患者サブグループが、より効果的であり、副作用が少ないか、あるいはより耐用性がよいかは明確でなかった。



がちがちのEBMerたちのように、効果が等しく、有害性が予後に関係しないのであれば、ACE阻害剤第一などと考えるべきなのか

それとも
薬剤をのんでくれないと始まらないわけだから、耐用性・adherenceを重視してARBを処方するか

・・・臨床家の悩みは続くだろう・・・


単剤による血圧コントロール成功はオリジナルな処方レジメン継続そして付加的な薬剤使用がないことなので、単剤で成功したことはすなわち薬剤の効果と耐用性の良さ、adherenceを意味する。ARBのこのアウトカムの良さは主に耐用性とadherenceに基づくもののように思える。



後顧的コホート研究によりARBのbenefitは影響されいるようにも思え、中断率はACE治療患者で多く、薬物補正やスイッチのプロトコールが緩いトライアルなどの影響によるものかも知れない。

by internalmedicine | 2008-01-11 08:49 | 動脈硬化/循環器  

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