アルツハイマー治療薬memantineは調整の難しい薬? NMDA受容体アンタゴニスト看板に偽り?
2008年 01月 11日
Journal of Alzheimer's Disease Press Release
Journal of Alzheimer's Disease1月号記載らしい
memantineというアルツハイマー病治療薬
複雑な薬物的な特性にて適切な投与量と患者群選択が重要ということが示唆された論文
脳の刺激性メッセンジャーであるアセチルコリンはdown-regulateされ、グルタミン酸のover-activationはニューロンの死をもたらす
第一世代の薬剤であるアリセプト(donepezil)やExcelon(rivastigmine)のような薬剤開発は脳のアセチルコリン濃度をboostする目的で開発された。グルタミン酸活性をブロックする薬剤の開発が進められたが、長時間作動性の開発が難しかったようだ。
グルタミン酸受容体は正常の脳機能の内、学習、記憶に必要。
memantineと呼ばれる薬剤がアルツハイマー病に有用性が認められた大きなbreakthrouthと考えられた。グルタミン酸シグナル化の正常な機能に影響を与えないが、細胞死をみちびくexeccsive actionには影響を及ぼす
Memantine (trade names: Namenda™, Axura®, Ebixa®)は2002年European Agency for the Evaluation of Medicinal Products、2003年には US FDA (Food and Drug Administration) から中等症・重症アルツハイマー病治療として認可を受けている。
UKでは、アルツハイマー患者での薬剤推奨に関して議論が沸騰し、コストベネフィット解析にてNICE(National Institute for Clinical Excellence (http://guidance.nice.org.uk/TA111/)の特定患者群への適用制限が認められた。この決定に関しては患者の所見により広く評価された。
オリジナルな処方より複雑な薬理学的特性を没薬剤であることがしめされた。この薬剤は、アセチルコリン関連の信号化に関係する薬剤と類似しており、グルタミン酸への弱い作用と、高濃度ではニューロン伝達にnegativeな影響を及ぼすこととなる。
低濃度では、海馬のニューロン同士のシグナルを促進する働きがあり、学習や記憶障害を回復する。しかし、これはグルタミン酸シグナルを遮断する野ではなく、むしろアセチルコリンへの作用と考えられる。
故にアルツハイマー治療としては有望だが、その有効濃度はかなり狭いことが考えられるし、さらに重要なことは適正な血中濃度のための投与量調整と適性患者の選別が必要となる難しい薬剤であることが判明した。
NMDA受容体アンタゴニストという看板が怪しくなった?
by internalmedicine | 2008-01-11 17:33 | 精神・認知