帝王切開は新生児肺炎を増加させる:待機的帝王切開への警告

周産期に関わる医療関係者の努力により日本の周産期医療はどうかんがえても世界のトップレベルなのに、福島・和歌山などの周産期に関わるリスクをすべて医師側責任に追いやろうとしている司法・政府を含めた行政・メディアの姿勢に対して全医師が正面切って怒るべきであり、周産期リスクを今ひとつ国民の対象にすべきである。それと出産に関連して死亡することはあり得ないという幻想をまず打破することが重要である。


今回対象論文の研究理由は
帝王切開が発展途上国・先進国とも増えており、ラテンアメリカでは50%という報告もある。
周産期合併症・重篤な母体の問題故に帝王切開が行われるのが通常だが、他の要因、と耐え場骨盤位や帝王切開の既往故に、麻酔手技・手術手技の改善の結果母胎へのリスクを減少させようと、帝王切開が行われている。
明らかな、一般的に強要される医学的・産科的適用なしに待機的帝王切開がなされる率が多くなっている。その場合に、母体・新生児へのリスク・ベネフィットに関するエビデンスに基づいて医学適用が存在しない場合は適切なカウンセリングがより必要となるだろう。

以前の研究から待機的帝王切開は、新生児の呼吸器系合併症リスク増加が報告されている。ただ、研究方法論の問題と結果にばらつきがあり、適切に原因と結果の程度の適切な評価がなされているとは言い難かった。


母体側依頼による帝王切開(Cesarean Delivery on Maternal Request)が一つのトピックスなのだろう(AHRQ:http://www.ahrq.gov/clinic/tp/cesarreqtp.htm



Risk of respiratory morbidity in term infants delivered by elective caesarean section: cohort study
BMJ 2008;336:85-87 (12 January)

2687名の帝王切開
経腟分娩に比べ、待機的帝王切開では呼吸器合併症が高い
オッズ比
37週: 3.9 (95%CI 2.4-6.5)
38週: 3.0 (95%CI 2.1-4.3)
39週: 1.9 (95%CI 1.2-3.0)



重症呼吸器系合併症についても同様パターンであるが、オッズ比はさらに高い:37週で 5.0(95%CI 1.6-16.0)


糖尿病妊娠合併症、pre-eclampsia、IUGR、骨盤位補正後もこの結果は影響されない独立したものであった。






Postpartum Maternal Mortality and Cesarean Delivery
OBSTETRICS & GYNECOLOGY Vol. 108,PART1 Sep 2006(pdf)

Cesarean Delivery Associated with Increased Risk of Maternal Death from Blood Clots, Infection, Anesthesia
http://www.acog.org/from_home/publications/press_releases/nr08-31-06-2.cfm

帝王切開はmajorな腹部手術であり(決してminorな手術ではない)、患者・医師も方法を選択する場合にその合併症・死亡リスクを考慮すべき
フランスの研究(French National Perinatal Survey)では1996-2000年に65例の死亡例を研究し、単胎であり、出産前状態によるものではなかったと報告している。女性は妊娠中受診していなかった。、major手術の3代合併症である致死的血栓、感染、麻酔合併症のリスクがドラマティックに増加していた。出産前・出産中に帝王切開をするべきかどうかにかかわらず、出産後死亡リスクは増加しえいる。
多くの先進国、米国・フランスを含めて、毎年帝王切開が増加しており、2003年、USで28%、フランスで23%という頻度である。女性は現在帝王切開を、医療の必要性の本来少ない、比較的リスクの少ない、選択できる出産方法と考えているのかも知れない。
先進国の母体死亡率は低く、米国女性では3500回に1回妊娠関連死亡があり、20年前から減っていない。


フランスでもいわゆる妊娠後出生前検診をしていない、いわゆる“**妊婦”が死亡リスクと関連しているという報告になっている。

日本の周産期に関わる妊産婦死亡報告では、出血、子宮外妊娠、羊水栓塞で。帝王切開となれば出血リスクが大きな要因となることは推定できる。
・Causes of Maternal Mortality in Japan
JAMA. 2000;283:2661-2667.
・AN AUTOPSY STUDY OF 306 CASES OF MATERNAL DEATH IN JAPAN
日本産科婦人科學會雜誌 Vol.35, No.2(19830201) pp. 194-200


日本のサービス業は医療だけでなく、受難の時代である。日本の生産性の低さは過剰なサービス要求にサービス業者が応じてしまっていること。特に断ることがないだろうと思っている業種に対する底なしの要求は今後も無限大に増加するだろう。教育・医療・福祉などの公的と思われるところへの負担への、利用者の過剰請求という問題が、教育の世界ではモンスターペアレンツや給食費不払い、医療・介護ではさまざまな利用者・家族とのトラブルをひきおこしている。頼るべきは立法(法制化)と司法の中立性・正当性なのだが、“なんたら感情”優先の毅然とした判断がなされているとは思われない。日本のサービス業は、上記以外の客商売を含め隘路に陥っているのである。

by internalmedicine | 2008-01-12 08:54 | 医療一般  

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