認知症患者の生存期間
2008年 01月 15日
障害:Disabilityは相対的なものであり、たとえば、認知症発症となれば、そのまま「死亡」に相当するという考えがこいつらの根源になるのではないか?そういう底意地の悪さを役人たちの作った作文に感じる。
世界的にも平均余命の増加、これは認知症状態でも改善が見られるという。
社会的インパクトとして認知症の社会への影響は多大であり、国家予算や今後の医療福祉予算を考えるに当たっても重要なのだが、日本では正当なコホート研究を行うきもないようだ。
介護保険を利用した擬似的調査や「無障害平均余命」などで代用されている。
ref. http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h18/01_honpen/html/06sh030102a.html
Survival times in people with dementia: analysis from population based cohort study with 14 year follow-up
BMJ, doi:10.1136/bmj.39433.616678.25 (published 10 January 2008)
【デザイン】 1991-2003年の前向き住民ベースコホート研究
【状況】多施設住民研究:イギリス・ウェールズ:2つの田舎、3つの都市部
【参加者】438名の認知症発症した13004名の65歳の住民ベース
【主なアウトカム測定】社会住民指標、認知機能、特異的健康状況、自己報告健康状況
Cox’s proportional hazards regression modelにて生存予後推定
【結果】2005年12月まで研究期間中に認知症発症の438名中356名が死亡
認知症発症から死亡までの死亡期間推定中央値は
男性:4.1年(中間4分位 2.5-7.6年)
女性:4.6年(中間4分位 2.9-7.0年)
若年と高齢との生存率の違いは7年ほど違いがある。
65-69歳:10.7年 (25th centile 5.6)
70-79歳:5.4年 (interquartile range 3.4-8.3)
90歳以上: 3.8年 (2.3-5.2)
予後推定因子は、性別、発症年齢、disability
認知症発症の先送りこそ、社会経済的にも重要な事案であろう。ライフスタイル介入、薬物の開発・・・など後向き方策だけしている場合ではないだろうに、国も・・・
それにしても、自分たちも老人になるという自覚がない、相互扶助の考えの欠如している人達が増え、ますます暗澹とした気持ちとなるのだが・・・
by internalmedicine | 2008-01-15 11:23 | 精神・認知