医療過誤自己報告システムの前提条件:免責と報告方法という論文
2008年 01月 15日
現場で犯人をでっち上げて特定の医療関係者だけを犯人にして・・・弱い研修医やレジデントがその被害者になる可能性があるのでは(某国立大学の医療事故で実際そうだった・・・)
なにより医療過誤を惹き起こす、その根本の医療制度や医療システムの問題があるのに、特定の個人だけが犯人とされ、システム改修より、犯人作りと犯人糾弾だけに懸命となる・・・という現象
それと、遺族を介入させることにより、恨みをはらすだけのシステムとなり、介在する人達もその怒りや恨みの対象となるだろう・・・
このような、システムを作るなら、目的は患者の安全性確保のためだけに限定すべきであり、民事・刑事事件に発展させるべきではない!
厚労省第二次試案(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495070148&OBJCD=&GROUP)、自民党案(pdf)、西島案(http://www.nishijimahidetoshi.net/report/detail.php?RN=415)にしても、遺族感情が救急・外科・癌関連だけでなくあらゆる日本の医療を崩壊させる。
”委員会の調査報告書は、刑事手続に使用することを妨げない”という文章がある限り・・・
Arch Intern Med.において医療エラーに関する自己報告に関する論文が掲載されている。
フルテキストなので各自ご覧いただきたいが、やはり、免責事項や報告の仕方が大きな問題となっている。
Reporting Medical Errors to Improve Patient Safety
A Survey of Physicians in Teaching Hospitals
Arch Intern Med. 2008;168(1):40-46.(full text)
患者の安全性を高めるためにはmedical errorのデータを収集することは必須だが、医師によるerror reportingに関与する要因はあまり知られていない。
Kaldjianらは、US内の388の専門・レジデント医師を調査し、多くの回答者が、仮説的エラーで、患者にマイナーな場合で73%、メジャー場合で92%報告するということを見いだした。
しかし、実際には医師の少数のみ、minor errorで18%、major errorで4%しか報告しない。そしてerrorの報告方法を知っていたのは55%のみ
医師は報告がケアの質を改善することを信ずるなら、報告方法を知っているなら、免除を信頼するなら、そして、レジデントに比べ専門職医師なら、より多くの仮説的エラーでも報告するようになるだろう。
by internalmedicine | 2008-01-15 15:49 | 医療一般