アメリカ国家レポート:無線テクノロジーへの研究要請
2008年 01月 19日
一方で、こういったリスクに関して過剰反応が社会的利便性に損失を与えることもある。
科学的思考を持っている人達だと、冷静に、リスク減少を考察できるのだろうが・・・ヒトは感情やフィロソフィーで行動する生き物なのだろうか・・・便利な科学テクノロジーを他人からも奪おうとする人達がいる。科学よりフィロソフィーを重視するだけでなく、それを他人に強要する人々がいる。
「リスクの無い世界なんて無い」("We don't live in a risk-free world)ということを前提に話をしないと、このRF (Radio Frequency: 一般に高周波)の健康への問題というのはとんでもない方向にいってしまう。
運転、スキー、バイクにのること、道を歩くこと、室内を歩くこと、すべてリスクである。
(蛇足:因みに、病院に入院していること自体死亡のリスクが高いことを意味するのだが、マスコミ・裁判官・検察・警察などの司法は全く分かってないようだ)
・・・なぜ、こういうことを書くかというと、アメリカ政府にちょっとした動きがあったためである。
New National Report Calls For More Research On Health Effects Of Wireless Technologies(コロラド大学: Press Jan. 18, 2008)
意訳・一部訳・拙訳
National Research Council( University of Colorado at Boulder Distinguished Professor Frank Barnes )は、携帯電話、携帯パソコン、ハンドヘルドウェブサーフィンbadgetなどの世界的広がりに関連したRFEの健康への影響の研究への努力を要請した
National Research CouncilからUS-FDAより要請されたレポートが1月16日にリリースされた。
著者らは、radio frequency、RFのヒトの健康への影響を評価できず、テクノロジーにみあう研究方法に関して推奨した。
非常に複雑な問題で、RFによる直接的短期的影響を見るのではなく、長期、10,20,30年に及ぶもので、携帯デバイスの潜在的影響に関して情報があまりに少ない。
Barnesが座長を務めるNRC委員会は、昨年8月、かれをホストとして、3日間のカンファレンスをワシントンDCで開き、9カ国12名を超える科学者で、研究スコアをレビューし、宣言を行った。Barensは White House Office of Science and Technology Policyとして、今週66ページにわたる報告を行った。NRCは the National Academy of Sciencesと the National Academy of Engineeringの主な遂行機関
BarnesはRFエネルギーの子供、青年期、妊娠女性・胎児への影響、携帯デバイスや信号を中継するベースステーションアンテナに関して特に注目した将来研究を進めることを推奨した。
子供が感受性が高いのかどうかも分からないが、成長期にある組織・臓器故にリスクとしては大きい可能性がある。
Barnesは、ヨーロッパの13カ国を含む大規模疫学的調査である、Interphone study(e.g. . J. Epidemiol. 2004 159: 277-283(http://aje.oupjournals.org/cgi/reprint/159/3/277.pdf))
がほぼ完了し、大規模な新しいデータが加えられた(注. 日本、オーストラリア、イスラエルを含むんだがなぁ・・・ )。
2004年、National Academy of Engineeringに選考されたBarnesは、パーソナル無線テクノロジー使用に関して大きな変化があったと述べている。たとえば、耳に対して開く携帯電話アンテナから頭へのRFエネルギー照射を対象とした研究がなされたが、ウェブサーフィンデバイスにおいて、ウェストのような体の部分に近づくデザインになっている新しい携帯電話も出てきているとBarnesは述べている。
子供の携帯電話使用が急増し、RF暴露が長くなるだろう若い世代に対してその期間に応じてリスクが生じる可能性がある。Barnesは、「ある種の癌のlatent timeが10-20年という事実は、より広範で長期研究の重要なものとする」と述べている。
RFの人体の健康への影響はきわめて議論の多いトピックスであり、RFからの健康の影響を示さないという多くの研究があるが、幾分影響もあるという研究もある。細胞内の“perturbed growth effects”を示す研究(Phys. Rev. A 25, 555 - 560 (1982))もある。一方、電磁波の骨治癒促進を示す研究もある。
by internalmedicine | 2008-01-19 09:57 | 環境問題