ビタミンE濃度と老人の身体機能低下は関連する

この研究、誤解されそうだが・・・サプリメント使用者は一人しかいないので、サプリメントが有効という論文ではないということをまずはっきりしておきたい

ビタミンEサプリメント利用は有害性の報告がある
ref.
高用量ビタミンEは寿命を短くする 続編 2004-11-17 10:19
寿命を短くしたければビタミンE大量サプリメントをどうぞ   2004-11-11 10:46


地域住民65歳以上成人の長軸研究で栄養状態と身体機能の評価したもので、BartaliらはベースラインのビタミンE濃度が3年フォローアップの身体機能の減衰に関連していることを示した。

Serum Micronutrient Concentrations and Decline in Physical Function Among Older Persons
JAMA. 2008;299(3):308-315.

【目的】 微量栄養素濃度が地域に居住する老人男女の身体機能減衰に関連するか T
【デザイン・セッティング・参加者】65歳以上の698名の長軸研究(Tuscany, Italy)
1998年11月1日から2000年5月28日にベースライン検査
3年フォローアップ

【主なアウトカム】
3年フォローアップにてShort Physical Performance Battery の最低1ポイント低下を身体機能低下と判定する
最低4分位に対するオッズ比を計算
2つの付加的・補完的分析アプローチも行った

【結果】
Short Physical Performance Battery スコアの平均減衰は1.1ポイント
関連変数補正ロジスティック分析では、ビタミンE濃度の減少(<1.1 µg/mL [<24.9 µmol/L]) が唯一、その後の身体機能の減衰と関連していた(OR, 1.62; 95% 信頼区間、 1.11-2.36; P = .01 最低α-tocopherol4分位にて1ポイント減衰あたり)

一般線形モデルでベースラインのビタミンE濃度は、寄与因子と Short Physical Performance Battery スコア補正にて、その後のShort Physical Performance Batterスコアと相関した(β = .023; P = .01)。

回帰樹状解析の分類において、81歳超という年齢と、70-80歳においては、ビタミンE濃度が身体機能低下のの強い因子である。



JAMAにおいては65歳以上の698名の地域住民の研究で、イタリアのフローレンスに近接した地域の研究。葉酸、鉄、ビタミンB6、B12、D、Eを含む微量栄養素測定したもので、3年にわたり、歩行速度、椅子からの繰り返し立ち上がり、立位バランスの3つのタスクを含む客観的試験をおこなった。

「エネルギー摂取と独立し、他の微量栄養素低値の影響が有意ではないので、ビタミンEが低栄養であるというマーカーという訳ではない。この結果はビタミンEの適切な摂取が老人の身体機能減衰を防ぐのに有効であろうということを示唆する。この研究対象者でビタミンEサプリメンを使用したのはたった一人で、この使用でベネフィットがあるとは言い難い」と述べている。

by internalmedicine | 2008-01-23 10:58 | 動脈硬化/循環器  

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