マラリアのRapid diagnostic tests(RDTs)

たまにはマラリアの勉強してないと・・・訴訟になったケース(←ここにもばかげた司法判断あるようだ)もあり、今後日本にいても注意すべき病気だろう。

マラリア・リスク・マップ:http://gis.hhs.gov/website/mrisk9/viewer.htm

Interactive Training:CDCってのを時間があるときにしてみるつもり・・・

一般的にはスメアでPlasmodium vivax. (三日熱マラリア原虫)やPlasmodium. falciparum. (熱帯熱マラリア原虫)、Plasmodium malariae. (四日熱マラリア原虫)、. Plasmodium. ovale. (卵形マラリア原虫)などを区別するのが普通だが、

“熱帯熱マラリアでは通常輪状体のみで、数が少ないときなど見逃しやすい。したがって、他の 検査手段、抗原検出法やPCR 法などを併用することが望ましい。(iDWR)”

そして、“熱帯熱マラリアは熱帯熱マラリア原虫により起こり、マラリアの中でも最も危険なタイプで死に至ることもあります。(メルクマニュアル)”

マラリアの迅速診断キットは
Paracheck-Pf test (Orchid Biomedical Systems, India):Para Sight F test
OptiMAL (Diamed, Switzerland)
などあるようだ

抗原検出法には大別して2 種類あり、一方は熱帯熱マラリア原虫のhistidine‐rich protein 2(HRP2)を主体に検出し、他方はマラリア原虫特異的LDH (pLDH)を検出する。前者のキットとしてはNow ICT Malaria P.f/P.v (Binax 社)があり、後者としてはOptiMAL (Flow 社)があるが、両者ともに国内では販売されていない。両者ともに熱帯熱マラリア原虫とそれ以外の3 種のマラリア原虫を区別して検出する。熱帯熱マラリア原虫の検出には、一般にHRP2 検出系の方がpLDH 検出系よりも優れている。(参考:iDWR



いづれも感度90%、特異度90%を超えるようである(http://www.shoklo-unit.com/lab.shoklo-unit.com/pc/rapid_e.html)

他、immuno chromatographic test (ICT Malaria P. f. test)やRIA・EIAによる抗体測定などもあるようだ。



The impact of response to the results of diagnostic tests for malaria: cost-benefit analysis
BMJ 2008;336:202-205 (26 January)
この迅速キット使用は、低・中等度リスク地域では、通常の顕微鏡検査よりコスト効果的であることが判明した。陰性試験患者への処方に対してはどの検査方法もコスト利益は無く、10-250%コストを引き上げる。コストは感染率に依存し、検査そのものには依存しない。
顕微鏡が迅速検査よりコスト効果的なのは、迅速キットの操作下の感度に依存するようである




OptiMALの感度・特異度の報告として、たとえば、Brazilian Journal of Infectious Diseases, 2004 (Vol. 8) (No. 2) 151-155
感度 92.3%
特異度  100%
positive predictive value 100%.
negative predictive value 91.6%
accuracy  95.8%

OptiMAL testの感度は 1000 parasites/ml未満なら落ちる




(第4相 NCT00146796)の報告

Rapid diagnostic tests compared with malaria microscopy for guiding outpatient treatment of febrile illness in Tanzania: randomised trial
BMJ 2007;334:403 (24 February) )
1204名の顕微鏡割り当て群のうち、顕微鏡検査結果陰性1030(86%)で、抗マラリア薬治療523名
1193名の診断テスト群割り当てのうち、1005名(84%)が陰性で、540名(54%)が治療

5名の迅速診断テスト陰性の子供では、陰性の子供より処方機会が増えた(P=0.003)

他の検査で陰性の患者は処方が多くなる(odds ratio 6.42, 4.72 ~ 8.75; P<0.001)

臨床医が診断必要とした低・中等度感染状況での抗マラリア薬90%超の処方例は検査陰性であった。



試験に出そうな・・・ヒトに感染する四種マラリア原虫とそれによる病気の比較(http://www.forth.go.jp/keneki/nagoya/keneki/travelmed/id/id-d-malaria-4type.htm
・熱帯熱マラリア:感染赤血球は大きくないが、時に大型で少数のMaurer's dot。
生殖母体の特有の半月状。


・三日熱マラリア:感染赤血球は他の赤血球より大型である。赤血球膜に多数の赤い小さなSchuffner斑点を認める。


・他には四日熱マラリアや卵形マラリアがある。
<参考:http://www.rph.wa.gov.au/malaria/diagnosis.html>

by internalmedicine | 2008-01-25 12:02 | 感染症  

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