再び、クループ
2008年 01月 26日
Seminar: Croup
The Lancet, Current Issue, Volume 371, Number 9609, 26 January 2008
要約:急性の遠吠え咳、喘鳴、胸壁の陥凹といった所見を有する子供の多くはクループである。問診と理学所見が、重篤な他疾患、たとえば、細菌性気管支炎や他の稀な上気道狭窄診断と除外をするうえで重要である。ネブライザーを介したエピネフリンは気道狭窄の一時的に症状改善に有効である。コルチコステロイドは治療のmainstayであり、軽症例を含め全ての重症度のクループの子供で有益性が認められている。
時間外診療をする上で、重要な病気である。それは一つに夜間に生じるということと、生命危機に関わる疾患の重要性がある。
主に夜生じる突然の、非常に特徴的でかつ明確なbarky coughが特徴で、上記気道閉塞による喘鳴、嗄声、呼吸苦を伴い、非特異的上気道炎症状が12-48時間ほど前に先行することがある。咳症状は一般に短時間で、約60%が48時間以内に症状軽快するが、1週間ほど続く場合もある。
除外診断
・喉頭蓋炎
・細菌性気管炎
・異物吸引(気管、食道)
・咽後膿瘍
・血管神経性浮腫
・アレルギー反応
・喉頭ジフテリア
細菌性気管炎
重篤で、生命危機をもたらす感染症であり、急性、ウィルス性呼吸器感染症後に生じることが考えられる。子供では2-7日軽症・中等症から、その後急性に悪化する。熱性の場合、toxicな外観を呈し、たとえば、気分が優れない、周囲への反応が乏しいなどの症状を示す。エピネフリンのネブライザー投与に反応しない場合、この細菌性気管炎を考慮すべきである。治療は気道のモニタリングと広域スペクトラムの抗生剤静脈内投与。濃厚な気道分泌が気道閉塞を早期に生じる可能性があるときは挿管・呼吸管理が必要となる。原因としては、黄色ブドウ球菌が多く、他にGAS、Moraxella catarrhalis、Strep. influenzae、インフルエンザ桿菌などである。
喉頭蓋炎
細菌性気管炎についで生命危機に関わる疾患(成人んではこちらの方がメジャーだと思うが・・・)。H. influenzaeに対するワクチンにより稀に生じることがある。突然の高熱と、drooling、嚥下障害、不安、立位を好み、ものをかぐような姿勢:sniffing position(首をまっすぐして坐位になりたがる)で、迅速に喉頭蓋炎として判断し、気道確保が必要となる。クループのような犬の遠吠え音がないのが特徴の咳を有する。
上記2つの疾患が考えられる場合は気道管理に技量ある医師がその管理をしなければならない。
by internalmedicine | 2008-01-26 09:23 | 感染症