MIFがAMPKを刺激し心臓虚血を助ける

Macrophage migration inhibitory factor stimulates AMP-activated protein kinase in the ischaemic heart
Edward J. Miller, Ji Li, Lin Leng, Courtney McDonald, Toshiya Atsumi, Richard Bucala & Lawrence H. Young
Nature 451, 578 (2008) pp499-604
心臓発作などの酸素、血流不足の心臓の反応に影響する蛋白の発見で、Yale大学のチームがNatureで発表で、MIFとAMPKの関係を明確化したもの




macrophage migration inhibitory factor (MIF)が細胞ストレス反応の酵素で、AMP-activated protein kinase (AMPK)を刺激する

AMPKは鍵となる細胞エネルギーバランスのregulatorであり、心臓発作中の心臓予防的役割を果たすこととなるというもの

MIFは以前免疫反応調整するもととして知られていたが、動脈効果や、関節炎、生体の感染反応に関連することが判明した。

MIFは酸素不足で遊離され、AMPK活性化を生じ、代謝的予防効果にて生体防御的に働くことが示された。

研究者はMIF遺伝子欠損マウスにてAMPK反応が消失することを示し、intactMIF遺伝子を有するマウスより重篤な状態となった。

参照:
(http://www.myukm.com/blog/macrophage-migration-inhibitory-factor-stimulates-amp-activated-protein-kinase-in-the-ischaemic-heart)


AMPK(AMP-activated protein kinase)は、運動により、骨格筋で、ATPが分解されて生じるAMPによって活性化される、蛋白リン酸化酵素(キナーゼ)で、様々な刺激によって活性化され、種々の臓器や細胞におけるエネルギー代謝調節に関わっている。たとえば、糖代謝においては、インスリン非依存性にGLUT4をtranslocateし、骨格筋内に糖を取り込むことが知られている(参考)。
一方、macrophage migration inhibitory factor:MIFは1966年に抗原感作により活性化したモルモット・リンパ球の培養上清中でモルモット・マクロファージの郵送を抑制する因子として発見され、1989年クローニングされ、114塩基対分子量12.3kDの蛋白質と判明。解毒系のグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)活性と免疫系のMIFがAMPK活性の2つの生体防御機構に関与するユニークな蛋白であるということで注目が集まっていた。MIFがエンドトキシンショックの主要増悪因子であり、MIFがAMPKが低濃度グルココルチコイド刺激で誘導されるなどの報告、炎症反応、免疫応答、細胞の分化増殖に関わる(参考:http://www.sidl.co.jp/menu01/mif.pdf




わたしは、骨格筋とAMPKの話に興味があるのだが・・・
Effect of exercise intensity and hypoxia on skeletal muscle AMPK signaling and substrate metabolism in humans
Am J Physiol Endocrinol Metab 290: E694-E702, 2006.
筋肉内のAMPKシグナルの増加、AMPなしの状態、ブドウ糖消費の状態が絶対的運動強度を決定づける。血中カテコラミン濃度、筋肉のブドウ糖消費、筋肉の乳酸値は相対的運動強度に関係する。
malonyl coenzyme A (CoA) はcarnitine palmitoyltransferase I (CPT-I)のallosteric inhibitorであり、長鎖脂肪酸のoxidationのためのミトコンドリアへのtransportに関係し、飢餓状態やエネルギー需要があるときには、malonyl-CoAが減少するが、インスリンの作用や、不活動状態の時はそのレベルが増加する。運動時や電気的刺激を筋肉に与えたとき、AMP-activated protein kinase (AMPK)はリン酸化やacetyl-CoA carboxylase(ACC)の抑制に反応し、GLUT-4 translocationを促進する。


心筋内でも、AMP-activated protein kinase (AMPK)はブドウ糖輸送のインスリン作用を協同的に作用し、インスリン様作用を有する可能性が考えられてきた。いくつかの抗糖尿病薬がAMPKを活性化し、運動のような細胞ストレスがAMPK活性を増加し、インスリン作用を増強し、AMPKの下流のターゲットのいくつかはインスリン作用の調節を含む様である。インスリン刺激ブドウ糖輸送のpositive stimulatorとして働く。

http://www.endotext.org/Diabetes/diabetes14/diabetes14.htm


http://www.cellscience.com/reviews7/AMP_kinase_insulin.html

by internalmedicine | 2008-01-31 16:03 | 動脈硬化/循環器  

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