糖含有ソフトドリンクおよびフルクトースの摂取は痛風を増加させる

痛風は男性にとって最も多い慢性の関節の炎症である。この疾患のburdenは広がっている。リスク要因同定はこの疼痛性疾患の予防・マネージメントのために重要。
痛風への食事指導としては、プリンの制限、アルコール摂取の抑制が知られているが、ソフトドリンクに関してはその指導がない。低プリンだが古くトールが相当量含まれている。
フルクトースは核酸のdegradationにより急激に血中の尿酸を増加し、プリン体合成促進となる。尿酸増加作用にて高尿酸血症増加となる。しかし、長期的にはどうなるかは分からないのである。しかしながら、アメリカでは、ソフトドリンクやフルクトースの飲料が増加し1977-1997で61%増加している。

糖含有ソフトドリンクおよびフルクトースの摂取は痛風を増加させる

Soft drinks, fructose consumption, and the risk of gout in men: prospective cohort study
BMJ 2008;336:309-312
【目的】 蔗糖添加ソフトドリンクとフルクトース飲料と男性偶発的痛風発症リスクを増加するかどうか?

【デザイン】12年の前向きコホート

【セッティング】医療従事者フォローアップ研究

【研究対象者】痛風既往のない46 393名の男性で、ソフトドリンクとフルクトースに関する摂取情報アンケート

【主な測定項目】Incident cases of gout meeting the American College of Rheumatology survey criteria for gout.

【結果】
12年フォローアップ期間中、755の偶発的痛風報告
糖甘味ソフトドリンクは痛風のリスク増加と相関
糖甘味ソフトドリンクが月1サービング未満にくらべて、週5-6サービングでは多変量相対リスクは1.29 (95% 信頼区間 1.00 ~ 1.68)で、1日1サービングあたり 1.45 (1.02 ~ 2.08)で、1日2サービングあたり以上で 1.85 (1.08 ~ 3.16; P for trend=0.002)

ダイエットソフトドリンクは痛風リスクと相関無し(P for trend=0.99).

フルクトース摂取量5分位による痛風多変量リスクはそれぞれ1.00、 1.29、 1.41、 1.84、 2.02 (1.49 ~ 2.75; P for trend <0.001).

フルクトース摂取の他の要因、たとえば果実ジュースやフルクトースリッチな果物の摂取は痛風のリスクを高くする(P values for trend <0.05).

【結論】 前向き研究によると、糖甘味ソフトドリンクとフルクトースの飲用の男性の痛風増加リスクと関連した。ダイエットソフトドリンクは痛風リスクの増加と相関はなかった。




アンケートの中身:
アンケートは、糖甘味ソフトドリンクを質問するもの(糖を含むコーク・ペプシ・他の糖含有コーラ、カフェインフリーのコーク・ペプシ・他のコーラ、糖を含む炭酸飲料、ダイエットソフトドリンク(低カロリーカフェインコーラ、低カロリーカフェインなしコーラ、他の低カロリー飲料)、それとフルーツとフルーツジュースを調査



考察:
フルクトースはアルコールの尿酸増加を、ATP→AMPへの促進させることで促進的に働き、尿酸産生への異化経路の器質ではあるが肝臓でのフルクトースリン酸化は限度があり、
フルクトース点滴後数分で血中農産が増加し、尿中の尿酸も増加する。プリン核酸欠乏状態ではde novoプリン合成は促進し、尿酸産生促進となる。逆に、ブドウ糖などの単糖類はこの働きはない。さらにフルクトースは血中の尿酸増加に間接的に関与し、インスリン抵抗性増加、インスリン濃度を増加させ痛風リスク増加と関連する。
動物モデル、ヒトの短期投与実験では、フルクトース大量投与はインスリン抵抗性を増加させ、耐糖能障害を生じ、高インスリン血症を生じる。たとえばラットに総エネルギー比35%フルクトースを4週に渡って与えるとインスリン感受性減少し、全身のブドウ糖処理が低下しする。
一方、同量のでんぷんではこの影響がみられない。
インスリン結合・インスリン活動性の減少が健康人への7週間のフルクトース1000kcal超過摂取で見られたが、ブドウ糖1000超過カロリー摂取ではこの影響は見られなかった。他の研究では総エネルギー比15%フルクトース・5週投与にて、インスリンブドウ糖反応の増加が見られ、当カロリー7.5%比や無しの群より反応が高かった。フルクトース摂取の増加でエネルギーバランスがプラスになり、超過adiposityをもたらす。このadiposity増加はインスリン感受性を減少させ、インスリン受容体の存在する筋細胞内の筋内の脂質含量を増加させる






低プリン食を極度に強いても無駄
ref.)Gout NEJM Vol.349:1647-1655 Oct. 23, 2003
通常のプリン制限食は多くの対象者にとってunpalatableであり、尿酸値をさげる有効性は少ない

by internalmedicine | 2008-02-08 10:46 | 医療一般  

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