小児科レジデントではうつ、バーンアウトが多く、うつは医療過誤増加と関連する

医療関係者のうつ・バーンアウトというのは表だって考慮されることは少ない。将来あるレジデントたちのこういった心的状態は社会的にも損失である。

メディアが医師たちを責め立て他の社会的不満のはけ口にしているかのような状況下で、医師たちに重大な心的異常がみのがされている。このような心的な異常状態はが結果的に医療過誤に結びつけば、患者サイドにとっても大きな影響がもたらされるのである。

Rates of medication errors among depressed and burnt out residents: prospective cohort study
BMJ, doi:10.1136/bmj.39469.763218.BE (published 7 February 2008)
【目的】 小児科レジデント内のうつ、バーンアウト頻度、これらの疾患と医療過誤の関連があるかどうか
【デザイン】Prospective cohort study.
【セッティング】米国3都市部独立小児病院
【参加者】3つのレジ電シープログラムの123レジデント
【主なアウトカム測定】うつ頻度はHarvard national depression screening day scaleで、burnoutはMaslach burnout inventoryで測定
レジデント・人突き当たりの医療過誤頻度
【結果】24(20%)でうつくのクライテリアに一致、92(74%)でバーンアウトクライテリアに一致
能動的サーベイランスで45のエラーがあった
うつレジデントは、非うつレジデントに比べ月当たりの医療過誤は6.2倍(1.55 (95% 信頼区間 0.57 ~ 4.22 vs 0.25 (0.14 ~ 0.46, P<0.001)
バーンアウト・レジデントと非バーンアウトレジデントはレジデント・月当たり医療過誤は同程度
: 0.45 (0.20 ~ 0.98) vs 0.53 (0.21 ~ 1.33, P=0.2)


【結論】うつ・バーンアウトは小児科レジデントにおいて大きな問題となっている。
うつレジデントは非うつレジデントにくらべ医療過誤が有意に多い。
バーンアウトと非バーンアウト間にはその頻度増加は見られない。


要約は上記ごとくなのだが、バーンアウトしたレジデントは有意に職務への集中力が低下し、作業効率が悪くなる。


医師という社会資源を無駄遣いにしないために、医師たちをうつやバーンアウトさせないような社会的は医療が必要なのである。



朝日新聞が珍しく、まともな特集を載せている(・・・最近は毎日・サンケイのひどさが目立つ、といっても、朝日には何度もだまされているので信用する気にはならないが・・・)
(2)「外患」 暴力・訴訟 しぼむ熱意(02/13)
(3)「内憂」 「志」くじく低い地位(02/14)


世紀のばか社説
 それにしても、痛みをこらえる患者をたらい回しにする行為は許されない。理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろあるだろうが、患者を救うのが医師や病院の義務である。それを忘れてはならない。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/070831/bdy0708310502002-n1.htm

by internalmedicine | 2008-02-15 11:47 | 医療一般

 

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