職業的腰痛予防に対する助言・設備・器具の良好な予防的エビデンスはない


改めて・・・厚生労働省って馬鹿の集まりと実感する
厚生労働省では, 「職場における腰痛予防対策指針」を策定し, 中でも健康管理については, 「重量物取扱い作業, 介護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対し, 配置前およびその後6月以内ごとに定期に腰痛に関する健康診断を実施すること」としている.

エビデンスに基づく論文で, 「X線学的所見は将来の腰痛やそれによる障害発生をなんら予測できない」とされており, 将来の腰痛予測を目的とするのであれば, 健診における腰椎X線検査は不要と考える(日本腰痛学会雑誌 Vol. 12 (2006) , No. 1 pp.34-38


介入に関してその有効性が疑問視されるのに、わざわざ放射線被曝をさせてどうするつもりなのだろう・・・馬鹿役人

本邦では, 整形外科医と産業医の協力による, EBMに基づいた研究調査はほとんど施行されていない.



(minds)では、ジャーナルの一覧があるだけで、ガイドラインそのものが明示されていない。


今回取り上げる論文の序文をみると、
重いものを持ち上げることは腰背部痛に直結する(International Journal of Industrial Ergonomics Vol. 24(4):389-404 Aug. 1999)。業務最適化技術が、重荷を扱うときの背部・腰痛、損傷予防のため進められている(e.g. Work 2002;19:9-18.、Work 2002;20:83-96.)
そしていろんな設備・器具が出現している。
こういった、荷物持ちへの助言や器具などの介入に対して、もともと疑問を呈する報告があった(Occup Med 2004:54;345-52.,Ergonomics 2006;49:706-23. )。





Effect of training and lifting equipment for preventing back pain in lifting and handling: systematic review
BMJ 2008;336:429-431 (23 February)
【目的】heavy liftingを含む仕事の背部痛予防のための、ワーキングテクニックやリフティング設備の助言・トレーニング

【データ源】 Medline, Embase, CENTRAL, Cochrane Back Group’s specialised register, CINAHL, Nioshtic, CISdoc, Science Citation Index, and PsychLIT were searched up to September-November 2005.

【レビュー法】第一の研究はランダム対照化トライアルに焦点をあて、二次的調査としては同時対照群を有するコホートを対照とした。介入は、重い対象物や人のliftingやhandlingに関するテクニックを修正する方法を目的としたもので、背部痛測定、後続するdisability、病気休暇取得をメインアウトカムとしたもの

【結果】6つのランダム化トライアルと5つのコホートがクライテリアに合致
2つのランダム化トライアルとすべてのコホート研究は高品質表示
8つの研究で患者のliftingとmovingを観察、3つの研究は、荷運びと郵便配達者を対象。
対照群は非介入あるいはトレーニング、身体運動、back belt使用を控えたもの

ランダムトライアル比較では、有意な差がなかった(17720名)

二次解析では、コホートのどれも有意な差が無く、ランダムトライアルの結果を支持するものであった。
【結論】リフティング設備の有り無しにかかわらず、背部痛とそれに続くdisabilityを予防する、working techniqueの助言、トレーニングを支持するエビデンスは存在しない。
この所見は現行のlifting techniqueを修正する助言実践に対して異論を唱えるものとなった。



作業関連性腰痛への国際的取り組みと我が国の現状(日本腰痛会誌 12(1):29-33,2006 PDF

by internalmedicine | 2008-02-22 09:44 | 運動系  

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