急性膵炎にプロバイオティクスは不可?
2008年 02月 22日
プロバイオティクスは無害という常識にとらわれていたので意外な結果である。
死亡率を増やしたのは、小腸壁への破壊効果というべきものの可能性、新規発症の臓器障害は認められないもので、ありうるとしたら、既存の臓器障害へ生じたものであり、腸虚血を生じるメカニズムが何らかあるのかも知れない。どのタイプのprobioticsでも共通の現象なのかはまだ分からない
Probiotic prophylaxis in predicted severe acute pancreatitis: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet 2008; 371:651-659
多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照治験で、298名の重症急性膵炎(APACHE IIスコア≧8、Imrieスコア≧3、CRP>150mg/L)を発症後72時間以内に①多種probiotic preparation (n=153)、②プラセボ(n=145), に割り当て
1日2回28日投与
プライマリエンドポイントは感染合併症因子、感染性膵臓壊死、菌血症、肺炎、尿路敗血症、感染性腹水(入院から90日フォローアップまで)
解析はITT
膵炎の診断間違いで各群1名脱落
probiotics群の151名、プラセボ群144名で解析
各群の患者背景同等
感染合併症発生probiotics群で46/151(30%)
対照群41/144(28%)
(相対リスク 1·06, 95% CI 0·75–1·51)
死亡probiotics群24/151(16%)
対照群 9/144(6%)
(相対リスク 2·53, 95% CI 1·22–5·25)
腸虚血probiotics群9/151(16%)
プラセボ群0/144
(P=0.004)
今後、重症感染症などに関しても、プロバイオティクス慎重な検討が必要なようである。
善玉菌なんてラベリングは意外な落とし穴にはまるのかも知れない。
プロバイオティクス・副作用:http://lib.bioinfo.pl/meid:28514
by internalmedicine | 2008-02-22 15:02 | 消化器