幹細胞治療:非悪性・非血液疾患への臨床応用の効果

胎児幹細胞の臨床的応用に関して方法的・倫理的問題が妨げとなる。一方、末梢血・臍帯血・骨髄からの幹細胞は比較的容易で安全に入手できる。
Burtらは、非悪性・非血液疾患への血液由来・骨髄由来の幹細胞移植を文献レビューし、研究調査し、患者のアウトカム・死亡率を調査した。

この解析にて、血液・骨髄由来の幹細胞は、自己免疫疾患の一部、心血管疾患の一部に中等度の疾患改善効果をもたらすことが判明した。


Clinical Applications of Blood-Derived and Marrow-Derived Stem Cells for Nonmalignant Diseases
JAMA. 2008;299(8):925-936.
926報告、323名の実行可能性と毒性を調査、少数患者例も含め、暫定的・サブ研究も含め、作用メカニズム、幹細胞の移行も調査し、他に69名もアウトカム調査。

自己免疫疾患に対して、26報告854名で、治療関連死亡率はnonmyeloablative処置で1%未満(2/220)、用量低下myeloablativeで2%未満(3/197)で、強化的myeloablativeで13%(13/100)
骨髄機能廃絶(myeloablative)治療は全身放射線照射、高用量ブスルファンなどの骨髄抑制レジメンを含むものである。
自己免疫疾患の炎症病期における全てのトライアルでHSCsの移植の疾患寛解効果への好影響の可能性を示すが、、寛解期間は不明で、ランダム化トライアルは報告されていない。
心血管疾患報告では、17報告1002名の急性心筋梗塞、16報告493名の慢性冠動脈疾患、35のメタアナリシスで、幹細胞移植のエビデンスは心機能への中等度改善を示した。




“劇的”という表現でないところがなぁ・・・と思う素人の私
まだまだ開発の余地があるのだろう、患者選択、方法など・・・

by internalmedicine | 2008-02-27 09:14 | 医療一般  

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