糖尿病リスク状態へのメトフォルミン治療:メタアナリシス

メトフォルミンは多くの医師たちがもっともその効能を知るべき薬剤でにもかかわらず使用経験・薬剤知識がかなり低い薬剤であろう。
メタボリック症候群への介入 : ライフスタイル・メトフォルミン 2005-04-19 22:48
向精神薬誘因性体重増加の対策 2008-01-09 09:39


リスク状態を対象に糖尿病予防効果を確認したメタアナリシス
 ↓
Meta-analysis: Metformin Treatment in Persons at Risk for Diabetes Mellitus
The American Journal of Medicine Volume 121, Issue 2, February 2008, Pages 149-157.e2
糖尿病発症リスク要因
肥満
糖尿病家族歴
身体不活動性
インスリン抵抗性
高血圧症
脂質異常症
血管疾患
PCO


1966年から2006年11月までの英語・非英語文献
最低8週間のmetformin vs プラセボ・未治療対照ランダム化トライアルで、BMI、空腹時血糖、空腹時インスリン、インスリン抵抗性、HDL、LDL、TG、新規発症糖尿病頻度を比較したもの


31トライアル、4570名で8267人年
body mass index (−5.3%, 95% 信頼区間[CI], −6.7-−4.0)


空腹時血糖(−4.5%, CI, −6.0-−3.0),
空腹時インスリン (−14.4%, CI, −19.9-−8.9)
インスリン抵抗性(−22.6%, CI, −27.3-−18.0)



TG(−5.3%, CI, −10.5-−0.03)
LDL (−5.6%, CI, −8.3-−3.0%)
HDL増加(5.0%, CI, 1.6-8.3)




新規発症糖尿病は、1.8年で、40%減少(0.5; CI, 0.5-0.8)、ARR 6%(CI 4-8)






メトフォルミン治療と妊娠について、PCOの人に聞かれたことがあった。

結論から言えば”Neither glyburide nor metformin has caused developmental toxicity in humans.”(The Annals of Pharmacotherapy: Vol. 41, No. 7, pp. 1174-1180. )ということで、メトフォルミンに関しては現状はパラダイムシフトにあるとのことである。
妊娠・授乳中投与についての記載がある→(http://www.otispregnancy.org/pdf/metformin.pdf

Effects of Metformin on Early Pregnancy Loss in the Polycystic Ovary Syndrome
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 87, No. 2 524-529

A Trial in Progress: Gestational Diabetes: Treatment with metformin compared with insulin (the Metformin in Gestational Diabetes [MiG] trial)
Diabetes Care, July 1, 2007; 30(Supplement_2): S214 - S219.



メタボリックシンドロームをあおって、ライフスタイル変更を強制するわけだが、そのadherenceに疑問がある。かたや、予防効果が確認できた、1錠10円もしない薬剤が存在するのである。

by internalmedicine | 2008-02-29 14:21 | 動脈硬化/循環器  

<< 足湯とレジオネラ 肥満者の生涯肥満コスト:予防は... >>