グラグラ尿道:Urinary Stress Incontinence

過日(2008年3月5日放送)のNHK「ためしてガッテン」
*グラグラ尿道:正式には「腹圧性(ふくあつせい)尿失禁」。女性がほとんど。 Aさん、Bさん、Cさんもこの症状
*ぼうこうが暴走:正式には「過活動ぼうこう=切迫性尿失禁」。男女ほぼ同数
を取り上げていた。

”グラグラ尿道”≠”腹圧性尿失禁”のはず、なぜなら、腹圧性尿失禁は、“Urine leakage occurs with increases in abdominal pressure (hence, mechanical “stress”)”が定義だからだ・・・(あたりまえか)。NHKはtension-free vaginal tape(TVT)の治療成功率を90%と述べたため、こういわざる得なかったと思うのだが、これは混乱をもたらす表現である。


あいもかわらず、独善的な内容で、不正確な内容・・・NHKも地に落ちたものだとあらためて感じた。
まぁ民放だとさらにひどいのだろうが・・・いづれにせよ、医療関係者はまともな記述物をもう一度参照する必要がある


NEJMに腹圧性尿失禁の解説
Urinary Stress Incontinence in Women
N Engl J Med. Vol. 358(10):1029-1036
腹圧性尿失禁(Stress incontinence)と、切迫性尿失禁(urge incontinenc)は尿失禁のもっとも多い形態

腹圧性尿失禁の定義
”involuntary urinary leakage on exertion, sneezing, or coughing — occurs when bladder pressure exceeds urethral resistance under conditions of increased abdominal pressure”


尿道と膀胱圧のバランスは、内因性要因 (e.g., urethral musculature, blood flow, and innervation) と外因性要因 (e.g., degree of urethral support and the weight and physical activity of the patient)両方に影響される。

切迫性尿失禁の定義
“involuntary urinary leakage accompanied by or immediately preceded by urgency — is a function of uncontrolled detrusor contractions that overcome urethral resistance”


両方の尿失禁の組み合わせを有することもあり、治療が異なるため鑑別が重要。

腹圧性尿失禁の頻度ピークは45-49歳で、リスク要因として白人、肥満、妊娠・出産、とくに経腟分娩などである。非ヒスパニック系白人がヒスパニック・黒人より多い。妊娠中女性では1/3まで腹圧性尿失禁が見られ、出産後減少する。出産後3ヶ月持続するするのが92%という報告が1つある。尿失禁合併症としてはlibido減少、膣感想、性交疼痛症である。


アンケート法(The Three Incontinence Questions (3IQ) Questionnaire.)
1.最近3ヶ月間で、尿漏れがありましたか(少量でも)?
□はい   □いいえ
         ↓
2.最近3ヶ月間で、尿漏れがある状況はどれか?
(当てはまる場合をすべてチェックせよ)

□a.咳、くしゃみ、ものを持ち上げる、運動といった体の動きのときですか?
□b.膀胱を空にするさしせまった状態や感じるときだが、十分余裕を持って素早くトイレにいけない時ですか?
□c.体を動かさず、切迫感がない時ですか?

3.最近3ヶ月間で、尿漏れがもっとも頻回に起きる状況は?
(一つだけチェックをせよ)
□a.咳、くしゃみ、ものを持ち上げるとき、運動のような時
□b.膀胱を空にするさしせまった状態や感じるときだが、十分余裕を持って素早くトイレにいけない時
□c.体も動かさず、切迫感がない時
□d.体を動かすとき切迫感を伴っていることがほとんどである場合

質問3の答えに基づき尿失禁の型を定義する
a.体を動かすときが最も多い:腹圧性 or 腹圧性が主
b.膀胱を空っぽにしたいという切迫した状況がほとんど:切迫性尿失禁 or 切迫性尿失禁が主
c.体を動かしたときに伴わないし、尿意切迫感も無い:他の原因 or 他の原因が主
d.体を動かしたときの失禁と尿意切迫感じがほぼ等しい:混合型

 ↑
上記アンケート法で感度75%、特異度77%とのこと(ソース:Ann Int Med. vol.144(10) 715-723







腹圧性尿失禁のNHKでは手術の内tension-free vaginal tape(TVT)を強調、成功率90%と述べていたが、初期トライアル(UK and Ireland TVT Trial Group.)では、tennsion-free tape(TVT) vs colposuspension比較で63%vs51%との報告である。NEJM(vol. 356:21: 2143-2155 2007)では、69%vs49%と・・・ちょっと開きがあるようだが・・・

Burch colposuspension
fascial sling
tension-free vaginal tape

by internalmedicine | 2008-03-06 09:05 | 医療一般  

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