抗うつ薬は重症うつにしか効果がない?
2008年 03月 07日
fluoxetine (Prozac)、 venlafaxine (Efexor)、 nefazodone (Serzone)、paroxetine (Seroxat, Paxil)といった新しい世代の抗うつ薬は軽症~中等症うつでのプラセボ比較で、ベネフィットおおむね無しで、重症うつにおいてややベネフィット有りで、最重症レベルでやっと統計的に有意になったという報告(PLoS Medicine 2008;5:e45)の報告があった。
米国FDA認可新世代の抗うつ薬四種でのメタアナリシス(35トライアル、総計5133名)であり、このデータはFDAから情報開示の法律に得たものである。薬剤効果に関し、ベースラインでの重症度と改善の関係は曲線的であり、プラセボ群では強い、陰性の線形を示す結果であった。ベースラインの重症度が悪ければ薬剤・プラセボの差は増加し、初期重症度と抗うつ薬の効果は最重症うつ患者におけるプラセボ治療の反応性が低いため生じるのであり、治療反応よりその影響が大きいと結論づけている。
当然ながら、この論文には多くの反応があったようだ。BMJ(BMJ 2008;336:466 (1 March), doi:10.1136/bmj.39503.656852.DB (published 26 February 2008))の解説では、FDAからの生データを利用することで出版バイアスが極力避けられた結果、こういうややショッキングな結果がもたらされたとのこと。データ不足のためsertralineやcitalopramが検討できなかったことも書かれている。
初期機能重症度と治療群の平均標準化改善(引用)
初期機能重症度と治療群の標準化改善度:初期重症度の高い群のみ(引用)
by internalmedicine | 2008-03-07 09:31 | 精神・認知