MICR:胸骨圧迫の中断を最小にすることで死亡率減少

以下のJAMAの報告をみれば、Minimally Interrupted Cardiac Resuscitation(“中断最小化心肺蘇生”とでもなるだろうか?)・・・この方法が、今後のBLS/ACLSのやり方に大きく影響を与えることとなるだろう。

換気のため胸骨圧迫の中断があることは、以前から血流遮断につながり、胸骨圧迫自体でも換気効果があることもあり・・・いづれはこうなるだろうとは思っていた(bystander心肺蘇生では胸骨圧迫単独の蘇生の方が優れている 2007-03-16 17:07 |
2004年と2005年の幾編かのヒトを対象とした少数の臨床シリーズ研究において 明らかになったことは、CPR中ヘルスケアプロバイダーは不十分な頻度と強さで胸骨圧迫をおこなっており、また胸骨圧迫が頻繁に中断され、さらに、特に患者が挿管されているときには必要以上の換気を行なっていること18,20であった。一般救助者による人工呼吸も、同様に胸骨圧迫の長い中断をもたらす傾向にあった。不十分かつしばしば中断される胸骨圧迫に必要以上の回数で換気を行うことが重なると、心拍出量と脳・冠血流量が減少し、心肺蘇生処置成功の可能性が損なわれることになる。(http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/05/aha-160.htm#c)


Save Hearts in Arizona Registry and Education (SHARE)(参考URL)の研究の一環らしい・・・

連続200回胸骨圧迫後、一回電気ショックを与えリズム解析後、2〇〇回の胸骨圧迫、それから脈チェックと、リズム解析・・・という手順のもの
エピネフリンの早期投与、気管内挿管はタイミングとして後にするものとする



Bobrowらは、MICRが患者生存率改善につながるかという検討を、アリゾナ都市部の火災部門の救急サービス人員にインストラクトし、その前後で患者生存率を評価した。
二次解析として、62の火災部門で、うちの12で訓練をうけたデータをレビューしMICRをうけた患者の予後比較をおこなったもの

MICR導入後の退院までの生存率増加、そしてMCIRを受けた患者の高い生存率が報告された。

Minimally Interrupted Cardiac Resuscitation by Emergency Medical Services for Out-of-Hospital Cardiac Arrest
JAMA. 2008;299(10):1158-1165.
2都市部886名の患者の内、生存退院は1.8% (4/218) であったが、MICR訓練後5.4%(36/668) と増加 (オッズ比[OR], 3.0; 95% 信頼区間 [CI], 1.1-8.9)

174名の意識消失心停止・心室細動のうち、MICR前4.7%(2/43)からMICR導入後17.6%(23/131)と増加(OR, 8.6; 95% CI, 1.8-42.0).

心停止2460名を含むMICRプロトコールコンプライアンス分析にて、生存率はMICR施行された場合はされない場合より有意に生存率改善 (9.1% [60/661] vs 3.8% [69/1799]; OR, 2.7; 95% CI, 1.9-4.1)、意識無しの心室細動でも同様 (28.4% [40/141] vs 11.9% [46/387]; OR, 3.4; 95% CI, 2.0-5.8)

by internalmedicine | 2008-03-12 09:36 | 動脈硬化/循環器  

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